2015 Fiscal Year Annual Research Report
テロメレース抑制遺伝子の機能解析から解き明かすがんの不死化形質
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15H06414
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
大平 崇人 鳥取大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (60757665)
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Project Period (FY) |
2015-08-28 – 2017-03-31
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Keywords | がん / メラノーマ / テロメレース / がん抑制遺伝子 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度においては、以下に示す実験を「研究目的」、「研究実施計画」に沿って行った。 [①PITX1とZCCHC10タンパクの結合部位の決定] PITX1及びZCCHC10タンパクを段階的にトランケートさせた変異型のタンパクを発現するベクターを構築し、それぞれのタンパクの結合部位をFLAGタグを用いた免疫沈降法により検索した結果、PITX1のホメオドメイン領域およびZCCHC10のCCHCドメイン領域においてPITX1/ZCCHC10は結合していることを同定した。 [②PITX1/ZCCHC10タンパク複合体形成とその阻害条件におけるTERT抑制効果への影響検討] 上記①の実験結果を基に、PITX1のホメオドメイン領域またはZCCHC10のCCHCドメイン領域を欠失させた条件化においては、TERTの抑制効果が低下したことから、ZCCHC10はPITX1と複合体形成によってそのTERT抑制効果を向上させている可能性が強く示唆された。 [③ZCCHC10が転写因子(PITX1)へ結合することにおける具体的な機能の解明] コリプレッサーは転写因子に直接結合し、協調的に働いて抑制調整を活性化する機能が知られている。ZCCCHC10はPITX1に結合し、さらにTERT抑制効果を向上させることから、コリプレッサーとして機能している可能性が強く示唆される。そこで、TERTプロモーターの下流にルシフェラーゼを搭載したベクターによるレポーター解析によりPITX1/ZCCHC10複合体による直接的なTERTプロモーター制御の可能性について追求する実験を計画し、本年度は、TERTプロモーターの下流にルシフェラーゼを繋げたベクターを作製した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の研究計画の内、PITX1とZCCHC10タンパクの結合部位の同定および複合体形成によるTERT発現への直接的な影響を証明できたことから目的を十分達成できていると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
PITX1/ZCCHC10複合体におけるTERTプロモーターへの直接的な関与を詳細に解析することに加え、がん病理標本のおけるPITX1/ZCCHC10の発現動態解析により、予後予測に加えて、転移能の獲得など種々の臨床病理学的因子について検出感度が向上するか検討する。また、データベースを用いたin silico解析からPITX1の機能亢進に関わる化合物の探索、PITX1の発現を促進させる可能性のあるリード化合物の情報を取得する。アッセイ系を構築後、PITX1の発現を促進する化合物を同定し、抗がん剤開発応用に向けた具体的な提案を提示する。
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Research Products
(2 results)