2015 Fiscal Year Annual Research Report
近代日本のアジア主義形成に関する思想史的・地域史的研究
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15H06455
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
中川 未来 愛媛大学, 法文学部, 講師 (60757631)
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Project Period (FY) |
2015-08-28 – 2017-03-31
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Keywords | 高須謙三 / 大阪興亜第二分会 / 大阪協同商会 / 青山好恵 / 朝鮮新報 / 東学農民戦争報道 / 中川虎之助 / 宇和島新聞 |
Outline of Annual Research Achievements |
2015年度は当該採択課題に含まれる3つの研究課題、(1)「1880年代における大阪資本の朝鮮進出と興亜大阪第二分会」、(2)「製糖業者中川虎之助のナショナリズムとアジア認識ー南洋進出・保護貿易・地域振興」、(3)「ある在朝鮮ジャーナリストの軌跡ー村松恒一郎・青山好恵兄弟をめぐって」のうち(1)と(3)の研究を終え、(2)の史料収集を行った。 (1)では興亜大阪第二分会員である高須謙三の大阪協同商会を中心に、興亜会や1880年代大阪実業界のアジア貿易構想が朝鮮貿易をその一環に組みこんでいたこと、高須謙三が朝鮮修信使への融資や便宜提供を通じて朝鮮開化派官僚とのコネクションを形成したこと等を明らかにした。結果、福沢諭吉らの言説からは補足しにくい1880年代興亜論の経済的側面と、1890年代以降を射程に入れた興亜論の持続性を指摘しえた。 (3)では愛媛県宇和島市出身で、朝鮮仁川居留地で発行された日本語紙『朝鮮新報』主筆青山好恵について、その東学農民戦争論と宇和島商人への朝鮮情報提供を中心に検討した。居留地メディアという概念を導入し『朝鮮新報』から『大阪朝日新聞』『宇和島新聞』など日本国内メディアへの情報提供を明らかにすることで、朝鮮情報発信のハブ・メデイアとしての『朝鮮新報』の役割、また青山の活動が地域社会における朝鮮進出熱の駆動因となったことを明らかにした。 (2)については、台湾時代の中川製糖所に関する史料を、国史館台湾文献館や国立台湾図書館など関係諸機関で収集することで、海外での史料収集を完了した。 (1)(3)の成果は、論文「一八八〇年代興亜論の経済構想と朝鮮:大阪資本の朝鮮進出を中心に」「『朝鮮新報』主筆青山好恵の東学農民戦争報道:1890年代の朝鮮情報流通と居留地メディア』として、2016年度に公刊が決定している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
既述のように、2015年度は当該採択課題に含まれる3つの研究課題、(1)「1880年代における大阪資本の朝鮮進出と興亜大阪第二分会」(2)「製糖業者中川虎之助のナショナリズムとアジア認識ー南洋進出・保護貿易・地域振興」(3)「ある在朝鮮ジャーナリストの軌跡ー村松恒一郎・青山好恵兄弟をめぐって」のうち、(1)と(3)の研究を終え、その研究成果を学会等で公表し、論文としてまとめることができた。また地域史に関わる(3)についても数回にわたる愛媛県内の一般向け講演会で報告することで、成果還元の責任を果たすことができた。 そのため2016年度は残る(2)に注力できるが、必要となる海外(台湾)での史料収集も2015年度中に行うことができたので、2016年度は徳島県など日本国内での史料収集と分析を行うことになる。また2015年度の研究過程では、新たな研究課題の萌芽となる史料を見いだすこともできた。 一方で、2015年度の成果(論文)は、掲載誌の刊行年度の都合で未だ公刊されていない。残る(2)の論文化と合わせ、研究年度内の成果公表を果たしたい。
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Strategy for Future Research Activity |
既述のように研究課題(1)(3)の研究は終了し、公刊をまつのみである。 そのため2016年度は、研究課題(2)「製糖業者中川虎之助のナショナリズムとアジア認識ー南洋進出・保護貿易・地域振興」の遂行と完成を目標とする。 海外での史料調査は完了したので、本年度前半は徳島県立博物館・同公文書館および国立公文書館・国会図書館等関係史料所蔵機関を中心に史料調査を行う。 本年度後半にはその成果を分析し、関係学会等で報告した後、成果物を関係学術雑誌上で公刊する。なお(2)は徳島県の地域史にも関連する研究課題であるため、同地域の地域史関係団体等でも成果を報告することで、研究成果の地域還元を積極的に推進する予定である。
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Research Products
(7 results)