2015 Fiscal Year Annual Research Report
言語環境の違いによる英語定型表現の選択と調整に関する研究
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15H06462
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
土屋 智行 九州大学, 言語文化研究科(研究院), 助教 (80759366)
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Project Period (FY) |
2015-08-28 – 2017-03-31
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Keywords | 定型表現 / 英語教育 / メディア |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、今年度以下のような活動をおこなった。 [A] ネイティブの英語話者の会話収録と書き起こしデータ作成 [B] 理論の体系化に向けた学内外研究者との意見交流 まず[A]では、ネイティブの英語話者を4名募り、彼らの自発会話および課題遂行会話の音声と映像の収録をおこなった。また、収録したものの書き起こしを随時おこない、データベースの構築を進めている。現時点で、約20時間程度の音声および映像の収録をおこなったこととなる。いずれも、収録の段階で個人がコミュニケーションの効率化をおこなうために記憶・使用している定型的な表現をみることができるものであり、研究資源としての価値および有用性の高いコンテンツが収集されている。 また、[B] の活動として、理論の体系化に向け、言語学および関連領域の学会にて資料収集と意見交換をおこなった。具体的には、日本語用論学会主催の研究会にて、本研究の理論的な内容を発表し、理論の実証に向けた方策や、言語記憶と文脈の依存関係について学外の研究者達と意見の交換をおこなった。他にも、社会言語科学会にて、日常会話収録をおこなう研究者と使用する機材についての情報を交換した。また、定型表現の研究者にも、本研究の会話収録について説明し、収録の手順や定型表現の認定方法についての助言を受けた。交流の場では、本研究の大きな目的の1つである「英語教育への貢献」に関する理解を広く得ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の今年度の目標の1つに会話データの収録があるが、研究者の募集およびスケジュールの調整が複雑であったため、本格的な収録までに予定以上の時間がかかった。その一方、収録の遅れを補うかたちで、研究の理論的な土台を構築できた。この理論面の研究活動は、結果的に収録の手順や内容の精緻化にもつながるものであった。 また、本研究における会話収録は、協力者の言語記憶の形成を観察する関係上、収録スケジュールを短期集中型としている。したがって、現時点では収録の遅れは挽回しており、ほぼ全ての活動が計画通りまたは当初より早く進行している。 研究計画の遂行にあたって今後課題となるのは、(a) 収録した内容を分析データへ成形する際の手順、(b) 報告書および英語教育への応用に向けたロードマップの作成 の2点となる。この2点の遂行を順調に進めるためにも、各学会への積極的な研究発表と意見交流が必要となる。
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Strategy for Future Research Activity |
研究を今後発展させるために、[1] 作成したデータの一部の分析を他研究者に依頼すること、[2] 英語母語話者の教員にデータの観察を依頼すること、[3] 積極的な学会での研究発表 の3点を検討している。[1]および[2]は、コミュニケーションの効率性を踏まえた定型表現の抽出方法を、研究者および英語母語話者の両方の観点からおこなうことで、理論の精緻化をより現実的なかたちで推し進めることが可能となる。さらに[3]では、関連領域の研究者との意見交換のみならず、理論の応用に関する研究活動に向けて共同研究者・連携研究者を探すことができる。
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Research Products
(1 results)