2015 Fiscal Year Annual Research Report
近現代日本における徳川宗家と旧幕臣に関する研究―静岡育英会を事例に―
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15H06463
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
原口 大輔 九州大学, 人文科学研究科(研究院), 助教 (00756497)
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Project Period (FY) |
2015-08-28 – 2017-03-31
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Keywords | 徳川家達 / 旧幕臣 / 静岡育英会 / 華族 / 旧藩 / 育英事業 / 徳川宗家 / 日本近現代史 |
Outline of Annual Research Achievements |
近現代日本における徳川宗家と旧幕臣の関係の変容を考察するため、本研究は静岡育英会なる育英事業に着目している。2015年度は当初の研究計画通り、静岡育英会に関する史料蒐集を最優先課題とし、その内容を整理することに努めた。 (1)史料調査:主に、国立国会図書館、東京大学法学政治学研究科近代日本法制史料センター原資料部、掛川市教育委員会(大東図書館)、沼津市明治史料館、静岡県議会図書室、静岡県立中央図書館、同歴史文化情報センター、文京ふるさと歴史館、防衛省防衛研究所などに赴き静岡育英会や旧幕臣の動向に関する史料を閲覧し、必要に応じて複写・写真撮影を行った。 特に、歴史文化情報センターは『静岡民友新聞』、『静岡新報』をはじめ各地方紙の閲覧状況が極めて良好であり、かつ写真撮影が可能であった。そのため、当初の計画では国立国会図書館でマイクロフィルムを紙焼きする予定であった経費を抑えることができ、その分新たな史料閲覧のための旅費にまわすことができた。 (2)研究成果:上述の史料調査から分かったことを「徳川宗家・旧幕臣・静岡県 ―大正期の静岡育英会―」なる研究報告を行った(近現代史研究会、2015年12月5日)。この報告では育英会の中心を担った河井弥八の文書を中心に用いて、大正期の育英会の運営状況と静岡県との関係について整理した。すなわち、旧藩主(徳川家達)不在のまま開始した育英事業は世代交代に伴う会員の減少などにより明治末に行き詰まりを見せたため、起爆剤として「総裁」(徳川家達)を設置し、出自に関わりなく静岡県の子弟と旧幕臣の関係者が集うよう会務を改革した。その結果会員は増え、さらには静岡に地方支部を設置し行政も取り込むことで、東京と旧藩領(静岡県)の二重構造から成立していたことを明らかにした。また、諸説あった解散時期を昭和38年と特定することができた点も付記しておく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
史料の調査が順調に進んでおり、またその際にお会いした方々からの情報によりさらなる史料へとアクセスすることができた。また、研究報告の機会があったことで現段階での進捗をまとめることができた点も大きい。一方、戦災によって多くの関連史料が失われたことも判明し、特に戦時下~戦後の育英会の史料はほとんど入手できなかったため(2)と判断した。この時期については別途工夫が求められる。
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Strategy for Future Research Activity |
研究を進めていく中でいくつか未見の史料があることが判明した。まずはそれらの史料調査を行い、昨年度に引き続き地方紙も悉皆的に調査する。また、近代における徳川宗家と静岡県との関係について、徳川家康の問題(東照宮三百年祭、大正四年)や慶喜・家達との葬儀などを素材に考えてみたい。そして、育英会を介した検討と併せることでより多角的に近現代日本における徳川宗家と旧幕臣の関係を分析することができると見込んでいる。以上を踏まえて本研究の成果を論文として執筆する。
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Research Products
(3 results)