2015 Fiscal Year Annual Research Report
塗布型有機EL素子の簡素化・高効率化を両立する多機能性分子システムの創出
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15H06470
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
相澤 直矢 九州大学, 稲盛フロンティア研究センター, 特任助教 (60754918)
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Project Period (FY) |
2015-08-28 – 2017-03-31
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Keywords | 有機EL / 塗布 / 励起子 / エネルギー移動 / デンドリマー |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、三重項励起状態から一重項励起状態への逆項間交差を示す熱活性化遅延蛍光(TADF)分子から蛍光分子へのスピン選択的な一重項励起エネルギー移動を可能とする分子システムを創出する。そのために、デンドリマーをモチーフとした分子構造制御により、TADF分子と蛍光分子間の距離をnmオーダーで制御し、一重項励起エネルギー移動の許容と三重項励起エネルギー移動の遮断を実現する。これにより、電気励起で生成した全ての励起子を蛍光として取り出し、100%の内部量子効率を示す塗布型有機EL素子を作製する。これまで、上記の機能を発現するためには、真空蒸着で形成するnmオーダーの複雑な多層構造が必要であった。塗布単層で機能発現を狙う本研究は、有機EL素子の簡素化と高効率化を両立する新たな方法論を提案する。 2015年度の研究実施計画に基づき、① 新規に設計・合成したTADF分子の発光スペクトルとデンドリマーに組み込む蛍光分子の吸収スペクトルの重なり積分から、分子間距離に対するエネルギー移動効率を算出した。これを指針として、② 発光中心に9,10-Bis(N,N-diphenylamino)anthracene、デンドロン(枝部分)に嵩高いTris(4-tert-butylphenyl)methyl基を有する緑色蛍光性デンドリマーの合成に成功した。さらに、③ 蛍光寿命と量子効率測定から、TADF分子からデンドリマーへの一重項励起エネルギー移動を確認した。一方で、通常の蛍光性分子を用いた場合、三重項励起子の消光を確認し、デンドリマーをモチーフとした分子構造制御によりスピン選択的な一重項励起エネルギー移動を実現できることを示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、TADF分子と蛍光性デンドリマーの合成に成功し、これらの混合膜中でのエネルギー移動過程および本研究のコンセプトの有用性を示すことができた。研究期間内に全ての計画を円滑に遂行できると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
研究はおおむね順調に進展しているため、当初の計画通り研究を推進していく。合成したTADF分子と緑色蛍光性デンドリマーを用いて塗布型有機EL素子を作製し、特性を評価する。
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Research Products
(13 results)