2015 Fiscal Year Annual Research Report
味細胞と腸管内分泌細胞に共通する甘味受容メカニズムに関する研究
Project/Area Number |
15H06485
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
高井 信吾 九州大学, 歯学研究科(研究院), 助教 (30760475)
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Project Period (FY) |
2015-08-28 – 2017-03-31
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Keywords | 味覚 / 消化管ホルモン |
Outline of Annual Research Achievements |
味受容体は舌上だけでなく、膵臓や腸管等、様々な臓器に発現しており、腸管吸収上皮における糖輸送体の膜発現調節や、その後のエネルギー代謝、またインスリンやインクレチン(GLP-1やGIP)といった種々の消化管ホルモン分泌の分泌調整に関わっていることが示唆されている。近年、消化管で発見されたホルモンやレセプター、糖輸送体が味細胞にも発現していることが示唆されているが、その詳細や機能に関しては未だ未知の部分が多い。本研究ではT1R2/T1R3(人工甘味料を含め、甘味物質を広く受容)と、糖輸送体-KATPチャネル系(単糖のみを受容)の2つの異なる甘味受容メカニズムが味細胞に存在しているか、また消化管ホルモン分泌にどのように関係しているかを探索している。2015年度は米国モネル化学感覚研究所に出張し、味細胞の幹細胞を用いた3次元培養系「オルガノイド」の作製技術を開発者であるDr.Peihua Jiang、Dr. Wenwen Renに直接学び、これを習得し帰国した。同時に、このオルガノイドを試料として行ったRT-PCにより、オルガノイドには様々な甘味受容に関わる分子(T1R3やgustducin)および糖受容体(GLUT4, GLUT8, SGLT1)、さらに消化管ホルモンの受容体(インスリンレセプター)のmRNAが発現していることがわかった。また、このオルガノイド、及びマウス味蕾を用いた免疫組織化学的実験により、インクレチンホルモンの一つであるGIPのレセプターが甘味受容細胞中心に発現している可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
モネル研究所への出張で、オルガノイドの樹立法を学んだが、当地の実験設備の関係上、電気生理学的実験等の遂行は困難であったため、研究計画に盛り込んだ機能解析の部分ではやや遅れている。しかし、今後当研究室でもオルガノイド培養系を立ち上げ、マウス味蕾を用いた機能解析と併せて研究を進めていく。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、マウス味細胞より樹立した幹細胞培養系オルガノイドを当教室でも立ち上げる。その後、オルガノイドに様々なな消化管ホルモン(インスリンやGIP)を作用させ、糖輸送体(GLUT2, GLUT4, GLUT8, GLUT9B, SGLT1)や味覚関連因子、特に甘味受容に関わる分子(T1R3やgustducin等)に対する影響を、定量PCRで評価する実験を行っていく予定である。またこれに合わせて、マウス味細胞における糖輸送体発現と甘味応答特性、消化管ホルモン分泌を、甘味受容細胞を蛍光標識したマウス(T1R3-GFP, Gustducin-GFP)と、当研究が保有する単一味細胞応答解析(loose patch clamp technique)および分泌ホルモン回収技術を用いて探索していく。
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Research Products
(4 results)