2015 Fiscal Year Annual Research Report
Wnt5aによる歯根膜線維組織再生誘導を基盤とした改良型意図的再植法の開発
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15H06487
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
長谷川 大学 九州大学, 大学病院, 助教 (20757992)
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Project Period (FY) |
2015-08-28 – 2016-03-31
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Keywords | 歯根膜組織 / 幹細胞 / 石灰化抑制 / Wnt5a / Ror2 / JNK |
Outline of Annual Research Achievements |
Wntファミリー分子の一つであるWnt5aとそのシグナル は、増殖や分化、遊走など様々な細胞機能に関与することが知られている。我々は最近、Wnt5a がヒト歯根膜幹細胞の骨芽細胞様分化(石灰化)を抑制することを明らかにし、歯根膜組織が石灰化することなく線維性結合組織を維持するメカニズムにWnt5aが関与している可能性を見出した。そこで我々は、この現象の詳細なメカニズムを明らかにすべく解析を行ってきた。 まず、多分化能を持つ未分化なヒト不死化歯根膜細胞クローンHPDLSC_2-23をWnt5a含有石灰化誘導培地にて一定期間培養した結果、非含有群と比較してアリザリンレッドS陽性反応ならびに骨関連遺伝子群(ALP、BSP、およびOsterix)の発現が有意に低下し、また同時に、細胞内シグナル因子であるJNKのリン酸化が亢進することが分かった。次に、Wnt5aのレセプターの一つとして知られるRor2に着目し、siRNAによりRor2の発現をノックダウンしたHPDLSC_2-23をWnt5a含有石灰化誘導培地にて培養した結果、Wnt5aによって低下したアリザリンレッドS陽性反応ならびに骨関連遺伝子群の発現が有意に回復し、同時にJNKのリン酸化が低下した。さらに、JNKの阻害剤であるSP600125をWnt5aとともに添加した石灰化誘導培地にてHPDLSC_2-23を培養した結果、Wnt5aによって低下したアリザリンレッドS陽性反応ならびに骨関連遺伝子群の発現が有意に回復した。以上の結果より、Wnt5aはRor2-JNKシグナル伝達経路を介してヒト歯根膜幹細胞の石灰化を抑制することが明らかになった。 我々は本研究で得られた知見により、Wnt5aとそのシグナルを活用した改良型意図的再植法など、歯の長期的な保存を目標とした新しい歯根膜組織再生治療法の開発に繋げていくことができるのではないかと期待している。
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Research Progress Status |
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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