2015 Fiscal Year Annual Research Report
温暖化と関連した沿岸生物多様性モニタリングサイトの選定―黒潮流域に注目して
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15H06514
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
村瀬 敦宣 宮崎大学, 農学部, 助教 (10759468)
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Project Period (FY) |
2015-08-28 – 2017-03-31
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Keywords | 沿岸環境 / 潮間帯 / 生物相 / 緯度的勾配 / 魚類 / ベントス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、黒潮流域では水温上昇による南方種の移動が起こりやすいこと、および黒潮流域の水温分布の階層構造に注目し、沖縄から房総半島にいたる黒潮流域の複数地点の潮間帯性の魚類・貝類群集の構造を明らかにし、この流域の中でも大隅諸島から東九州の沿岸域が温暖化に関連した沿岸生物相の長期モニタリングを行うのに適した地域であることを示すことを目的としている。当初の計画から変更した項目は下記の2点である:1.(調査地点)平成27年度は、交付内定後の予算配分を留意し、当初から注目していた大隅諸島海域から東九州の沿岸に調査地点を絞って調査を行い、調査期間は春季と秋季とした;2.(調査対象)当初は調査対象を岩礁性海岸としていたが、河口の干潟域も対象に加え、対象生物群には甲殻類も追加することで、合計で2種の沿岸の環境と3つの分類群で比較検討を可能にし、温暖化影響モニタリング適正評価をより多角的に行えるように調査内容を改良した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上述の通り、当初の計画よりも調査範囲は限定されたものの、環境や生物群を広めたことで、より多角的な視点から温暖化と生物相変化のモニタリングの指針策定に貢献することを可能とした。平成28年3月31日現在の時点で2つの沿岸環境(岩礁・干潟)において生物相調査が完了した季節、地点は以下の通りである:岩礁春季、大隅諸島;干潟秋季、大隅諸島・宮崎県串間市・宮崎県宮崎市・宮崎県延岡市・大分県杵築市;干潟春季、大隅諸島。 順次、調査の際に採集された生物の同定・計数を開始しており、岩礁と干潟、春季と秋季、魚類と無脊椎動物による緯度的分布パターンの違いが明らかになりつつあり、今年度予定通り調査が進めば、いずれの環境で、いずれの時期に、いずれの生物群を対象にするのが温暖化による生物相の変化の把握に適しているのか、この指針を構築できることが期待できる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度は岩礁・干潟共に大隅諸島から東九州の4または5地点で残りの季節の生物相調査を進め、得られたサンプルを同定・計数し、今年度後半にはこれらの数値を解析し、結果をまとめる方針である。
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Research Products
(1 results)