2015 Fiscal Year Annual Research Report
インフルエンザ菌のフルオロキノロン低感受性に関わる分子疫学および分子遺伝学的解析
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15H06521
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
佐藤 豊孝 札幌医科大学, 医学部, 助教 (30756474)
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Project Period (FY) |
2015-08-28 – 2017-03-31
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Keywords | フルオロキノロン耐性 |
Outline of Annual Research Achievements |
過去のH. influenzae臨床分離株の中から新たに3株のフルオロキノロン低感受性株を検出した。 これらのシプロフロキサシン MICは0.5または1mg/Lであり、これまでのフルオロキノロン耐性株(シプロフロキサシン MIC; 2-16mg/L)よりも低い値であった。これらの株はCLSIの基準では感受性と判定されるが、明らかに他のシプロフロキサシン感受性株(MIC; <0.03mg/L)より高い値を示した。さらに、レスピラトリーキノロンである、ガレノフロキサシンおよびモキシフロキサシンのMICも0.5-2 mg/Lと低感受性から低度耐性であった。キノロン耐性に関与するgyrAおよびparCのキノロン耐性決定領域の塩基配列解析を行った結果、3株のフルオロキノロン低感受性株はすべてgyrAのSer84LeuおよびparCのSer84Argの2箇所のアミノ酸置換を認めた。過去のフルオロキノロン耐性株は3-5箇所のアミノ酸置換が蓄積されていたが、今回のフルオロキノロン低感受性株ではまだその蓄積数が少なく、当初標的としたフルオロキノロン耐性予備群の株であることが明らかとなった。 今後、これらの株の遺伝学的情報を取得し、さらにフルオロキノロン耐性獲得のし易さを検討・評価する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
臨床検体からフルオロキノロン耐性株および低感受性株を新たに検出する試みをしているが、フルオロキノロン耐性株の分離頻度がかなり少なく(昨年度の検査では未検出)、さらにフルオロキノロン低感受性の分離頻度も極めて低い状況であった為。また培養や薬剤感受性試験においてCLSI standard methodでの培養では発育が困難な菌株も多く、その検討に多くの時間がかかってしまった為。
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Strategy for Future Research Activity |
臨床検体を多くし、フルオロキノロン耐性株および低感受性株の取得の試みを継続する。また、現在得られているフルオロキノロン低感受性株の分子疫学的解析(MLST法や血清型別)を行い、フルオロキノロン耐性株予備群としてこれらの遺伝学的背景を明らかにする。さらに、これらのフルオロキノロン低感受性株を用いフルオロキノロン耐性の獲得にあたえる影響(フルオロキノロン耐性変異株出現頻度および外来性遺伝子の獲得頻度の測定)を解析し、フルオロキノロン低感受性株の臨床現場における広がりの把握およびフルオロキノロン耐性獲得する危険性のある株の予測およびそのリスクを評価する。
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