2015 Fiscal Year Annual Research Report
iPSから継代培養と凍結可能な原始腸内胚葉細胞の誘導及び機能細胞への分化
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15H06534
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
張 冉冉 横浜市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 博士研究員 (10760887)
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Project Period (FY) |
2015-08-28 – 2017-03-31
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Keywords | 多能性幹細胞 / 分化誘導 / 内胚葉細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究において、iPS細胞由来内胚葉前駆細胞(Primitive Gut Endothelial Cell, PGEC)の誘導を試みた。すなわち、未分化(多能性)細胞マーカーであるNanog、OCT4、MYC、LIN28Aが陰性、内胚葉細胞マーカーであるCXCR4、CER1、HHEX、GATA4が陰性、腸内胚葉マーカーであるCDX2、HOXB9が陰性、間葉系細胞マーカーであるブラキュリ(T)が陰性、膵細胞マーカーであるPDX1が陰性であるiPS細胞由来内胚葉前駆細胞(PGEC)の分化誘導を試みた。具体的にはiPS細胞より、4段階の分化誘導を試みた。 分化誘導は、第一段階(ROCK阻害剤等添加)、第二段階(Activin A等添加)、第三段階(bFGF、VEGF等添加)を経て行った。その結果、分化誘導により得られたPGECより、肝細胞への分化誘導を行ったところ、肝細胞様の形態を示し、肝細胞マーカー遺伝子を発現する肝臓細胞を誘導することができた。免疫染色法により肝細胞マーカーの発現を確認したところ、マーカータンパク質の発現を検出した。さらに、ICG試験・PAS染色からも、PGECから肝細胞への分化誘導が生じていることが検証された。分化誘導された肝細胞を継代したところ、肝細胞特異的遺伝子・タンパク質の発現が維持されることが確認された。また、PGECをbFGF、VEGF等の存在下で培養したところ、PGECの増殖性を維持しながら拡大培養することが出来ることが明らかとなった。 本年度の検討により、PGECの誘導および拡大培養法の基盤を確立することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の研究により、当初計画の主要な項目(「iPS細胞からの多段階分化誘導によるPGEC細胞の誘導法の確立」、「PGECの拡大培養法の確立」)を概ね達成した。また、「PGECからの肝臓細胞への分化誘導法の確立」についても、アルブミン陽性細胞までの分化誘導については確立することができた。これらのことから、当初予定計画を概ね順調に推進することができた。一方で、拡大培養したPGECの凍結保存法の検討については、今後の課題である。研究は概ね順調に進捗していると認められる。
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Strategy for Future Research Activity |
PゲC今後は、以下の項目について開発を進める予定である。
1) マイクロアレイ解析による分化段階の詳細解析。 2) PGECを用いた膵臓細胞の段階的誘導の方法の樹立。 3) PGECに関する凍結保存可能性の研究。一般的な細胞凍結・解凍の方法に準ずれば良いことが本細胞の利点であるが、特に、保存用溶媒に混合したのちに凍結するまでの作業、および、保存後の凍結細胞を融解する際の操作を迅速に行うことが重要である。
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Research Products
(1 results)