2015 Fiscal Year Annual Research Report
癌幹細胞を標的としたiPSDCs癌ワクチン療法の基礎研究
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15H06553
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Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
岩本 博光 和歌山県立医科大学, 医学部, 学内助教 (60756592)
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Project Period (FY) |
2015-08-28 – 2017-03-31
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Keywords | 腫瘍免疫 / iPSDCs / 癌ワクチン / 再生医療 / 癌幹細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
健常人(sample 1-3)末梢血単核球(PBMCs)に山中4因子をセンダイウィルスベクターで導入し、iPS細胞を樹立した。この際はこれまで当科にて行ってきた線維芽細胞由来のiPS細胞の樹立法に準じて行った。今後当科ではこの方法によりiPS細胞を樹立していく。 そしてこれをさまざまな方法によりiPSDCsに分化誘導した。その結果サイトカインカクテルにより分化誘導することがもっとも効率がいいこと明らかになった。そしてこれにより得られたiPSDCsは抗原提示細胞として十分な機能を有していることが分かった。今後当科ではこの方法によりiPSDCsを分化誘導していく。 次にこのiPSDCsにCEA遺伝子を導入し、その抗腫瘍効果を仮想抗原とヒトの癌細胞株を用いてCr release assayで評価した。具体的には導入遺伝子発現iPSDCsをstimulator,PBMCsをresponderとして,供培養を行い,in vitro刺激にてbulk CTLsを得る.そしてCD8+CTLsをソートし,導入した癌幹細胞特異抗原に特異的な細胞傷害活性をCr release assayを用いて比較検討する.Positive targetはPBMCs由来LCLにCEA遺伝子を導入した仮想自己癌幹細胞特異抗原発現株を用いた。その結果、ヒトでもiPSDCsはCEA遺伝子特異的な抗腫瘍効果を有していることが分かった。 これらの成果は2015年10月に京都市にて行われた第53回日本癌治療学会学術集会にて筆頭演者としてワークショップで発表した。さらに2016年1月にサンフランシスコで行われたASCO-GIにて筆頭演者として発表し、3月に大阪市で行われた第15回日本再生医療学会総会で筆頭演者として発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
健常人(sample 1-3)末梢血単核球(PBMCs)に山中4因子をセンダイウィルスベクターで導入し、iPS細胞を樹立した。そしてサイトカインカクテルを用いてiPSDCsに分化誘導することがもっとも効率がいいこと明らかになった。そしてこれにより得られたiPSDCsは抗原提示細胞として十分な機能を有していることが分かった。次にこのiPSDCsにCEA遺伝子を導入し、その抗腫瘍効果を仮想抗原とヒトの癌細胞株を用いてCr release assayで評価した。その結果、ヒトでもiPSDCsはCEA遺伝子特異的な抗腫瘍効果を有していることが分かった。 これらの結果により今回の研究は癌幹細胞を標的とした新たな癌ワクチン療法の開発の基礎研究となり得ると考えらえれ、一部予定通りに行ってないものもあるが、おおむね研究は進んでいると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
まずは分化誘導したヒトのiPSDCsに対し癌幹細胞に発現を認めるTAA遺伝子の導入を行い、このiPSDCsの抗原提示細胞としての機能を評価する。そしてこのTAAを発現している癌幹細胞に対する抗腫瘍効果をin vitroで比較検討する。これによりiPSDCsの癌幹細胞への癌ワクチンとしての有効性の評価を行う。 これと並行して当初の予定通り健常人末梢血単核球(PBMCs)よりiPS細胞を樹立し、これに癌幹細胞特異抗原2種を遺伝子導入し、癌幹細胞特異抗原を恒常的に発現しているiPS細胞株を樹立する。これをiPSDCsへ分化誘導し、高率に癌幹細胞特異抗原を発現しているiPSDCsのを得る。理論上このiPSDCsは100%この癌幹細胞特異抗原を発現している。そしてこのiPSDCsの抗原提示細胞としての機能を評価する。 次に癌幹細胞特異抗原を発現しているiPSDCsの抗腫瘍効果の比較検討を行う。これに先立ちまずintracellular FACSで当科が所蔵している癌細胞株での癌幹細胞特異抗原の発現の有無を確認する.これとそれぞれのiPS細胞,癌細胞株のHLA typingの結果を基に,DNAJB8のみ発現している細胞株2種、Survivinのみ発現している細胞株2種、どちらも発現している細胞株2種、さらにどちらも発現していない細胞株2種の合計8種の癌細胞株をターゲットとして抗腫瘍効果の評価を行うこととする。またPositive targetとしてPBMCs由来LCLに特異抗原遺伝子を導入した仮想自己特異抗原発現株を作製し用いる。そしてこれらをターゲットとして抗腫瘍効果をCr release assay及びWinn assayで比較検討する。
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Research Products
(3 results)