2015 Fiscal Year Annual Research Report
国交正常化以後の日韓関係の変容、1966~1972年:「非正常の正常化」への道程
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15H06557
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Research Institution | The University of Kitakyushu |
Principal Investigator |
李 東俊 北九州市立大学, 外国語学部, 准教授 (70755553)
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Project Period (FY) |
2015-08-28 – 2017-03-31
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Keywords | 日韓関係 / 日韓経済協力 / 日韓国交正常化 / 日韓会談 / 冷戦 / 脱植民地化 / 産業化 |
Outline of Annual Research Achievements |
戦後日韓関係の「非正常化」の原因を、1965 年の国交正常化そのものではなく、むしろその直後の日韓経済関係の形成過程に求める本研究では、平成27年度に以下のように研究を進めた。 (1)日韓公文書の収集:日本の外交史料館、国立公文書館、韓国の外交史料館など諸機関の目録を精査したうえで、とくに日韓経済協力関係の形成に関わる外交資料を集中的に収集した。より具体的には、1965 年から1972 年まで作成された日韓両政府の公文書のうち、日韓経済合同委員会、日韓経済閣僚懇談会・日韓定期閣僚会議、日韓協力委員会などに関する資料はほぼすべて確保した。 (2)重要資料の編訳:(単独、韓国語)『日韓国交正常化交渉の記録』(ソウル:三仁出版社 、2015年12月、全1199頁)。この本は、日本外務省が1965年日韓国交正常化以降に日韓会談(1951~65年)の経緯を取りまとめた公文書「日韓国交正常化交渉の記録」の全文を韓国語に翻訳・解題したものである。 (3)資料解題集の刊行:(共編)李東俊・浅野豊美・吉澤文寿・長澤裕子編『日韓国交正常化問題資料:第3期 1963~1965年、日本側資料』第1‐11巻(東京:現代史料出版、2015年5月)、全11巻。 (4)関連研究に対する書評:(単独、韓国語)「未完の清算:韓日請求権交渉に対する自己省察報告書」大韓民国歴史博物館『現代史広場』第5号(2015年6月)、178-185頁。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
(1)今年度最大の研究目標であった日韓公文書(1965年から72年まで生産されたもの)の収集作業をほぼ完遂した。収集した関連資料の秘密解除水準も極めて良好であったので、今後本格的に資料検討を進めるための土台ができた。 (2)『日韓国交正常化交渉の記録』(ソウル:三仁出版社 、2015年12月、全1199頁、韓国語)の編訳作業を完了した。この本は、日本外務省が長年にわたり取りまとめた「日韓会談白書」たるものであるが、今後、日韓関係はもちろん、東アジア現代史の研究における重要な基礎資料になると思う。出版後、韓国内にも大話題になり、10件以上の関連報道が出された。 (3)先行研究に対する検討作業をもかなり進み、独自の研究テーマがより明確になった。
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Strategy for Future Research Activity |
現在のところ、国交正常化以降の初期日韓関係は「全体化」と「局所化」という視点から捉え直すことができると思っているが、万が一、資料検討の結果それが不可能になった場合には、分析の枠を実証結果に従って再構築する。
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Research Products
(4 results)