2015 Fiscal Year Annual Research Report
神経変性疾患の病態を進行させる分子メカニズムの解明
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15H06588
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
徳田 栄一 慶應義塾大学, 理工学部, 助教 (00757510)
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Project Period (FY) |
2015-08-28 – 2017-03-31
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Keywords | 筋萎縮性側索硬化症 / タンパク質線維 / シーディング / 線虫 |
Outline of Annual Research Achievements |
筋萎縮性側索硬化症(ALS)では、首座である運動ニューロン内にCu/Zn superoxide dismutase(SOD1)タンパク質が不溶性の線維体として異常蓄積することが知られている。また、ALSの病変部位は疾患の進行と共に、運動ニューロンの周囲の細胞・組織に拡大していくことが報告されている。本課題では、「不溶性SOD1線維が細胞間で伝播することにより、ALSの病態が進行し症状が悪化するのではないか?」という仮説を実証することを目的とした。 平成27年度では、(1) 生体内で不溶性SOD1線維のシーディング現象を観察可能なヒト変異型SOD1トランスジェニック線虫の作製、(2) 作製したヒトSOD1線虫に不溶性SOD1線維を摂取させ、体内でシーディング現象が誘導されるかどうかの2点に関して検討した。 まず、ヒト変異型SOD1(L126X)トランスジェニック線虫の作製を試みた。常法に従い、L126X遺伝子を含むプラスミドをN2線虫にマイクロインジェクションし、腸管特異的にL126Xを発現した線虫の作製に成功した。 次に、不溶性SOD1線維をL126X線虫に取り込ませ、線虫生体内でシーディング現象が引き起こるか検討した。線虫の餌である大腸菌に不溶性SOD1線維を発現させ、シードとして線虫体内に導入した。線虫は大腸菌を介して不溶性SOD1線維を摂取しているにも関わらず、線虫体内でSOD1の線維化は誘導されなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成27年度では、ヒト変異型SOD1 (L126X) を発現する線虫を作製することに成功し、SOD1線維を形成した大腸菌を食餌として与えることで、大腸菌-線虫間でのシーディングによる線維化促進・伝播を検証することができた。残念ながら、L126Xではシーディングによる線維化を線虫モデルにて観察することができなかった。しかしながら、シーディングが観察されなかった原因として、線虫内でL126Xタンパク質が速やかに分解されてしまうことを見出すことができた。よって、本課題を遂行する際に生じる技術的な問題点などは既に対応済みであり、線虫や大腸菌の取り扱いについても、申請者の所属研究室にて確立している。また、各種の生化学的手法(ウェスタンブロッティング・蛍光免疫染色など)に関して、申請者は豊富な経験を有していることからも、本課題の準備状況は極めて良いと言える。
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Strategy for Future Research Activity |
線虫生体内でシーディング現象が観察されなかった原因として、L126Xタンパク質が線虫生体内で非常に不安定であり、速やかに分解されてしまうことが考えられた。そこで、野生型SOD1のように構造的に安定な変異型SOD1(G93Aなど)に着目し、平成27年度と同様の手法を用いて、ヒト変異型SOD1トランスジェニック線虫の作製を行う予定である。 野生型SOD1様のヒト変異型SOD1線虫の作製が完了次第、SOD1線維を発現した大腸菌を食させ、生体内シーディングが引き起こるかどうか解析する。
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Research Products
(4 results)