2016 Fiscal Year Annual Research Report
A study of historical sociology on nationalism and industrial technologies in postwar Japan
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15H06612
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Research Institution | Seijo University |
Principal Investigator |
新倉 貴仁 成城大学, 文芸学部, 専任講師 (50757721)
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Project Period (FY) |
2015-08-28 – 2017-03-31
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Keywords | 社会学 / メディア論 / ナショナリズム / オートメーション / 能率 / 産業合理化 / ミドルクラス / 大衆社会 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、近代社会に特有の社会現象としてのナショナリズムを解明することを究極的な課題とし、近代日本における産業技術の歴史を調査することを通じて、従来のナショナリズムをめぐる議論の地平を刷新することをめざすものである。 本年度は、ナショナリズムの理論的研究の成果として、『思想』1108号に「「想像の共同体」を越えて」を発表した。この論文はナショナリズム研究の古典ともいえる『想像の共同体』の議論についての理解を刷新しうるものであり、中間と複製という問題に焦点を合わせることで、産業技術とナショナリズムの問題を関連づけるものである。 また、2016年10月に九州大学で開催された第89回日本社会学会大会において、「近代日本と産業合理化――「能率」をてがかりに」を報告した。本報告では、戦前から戦後にかけての「能率」の問題について、その外延を示し、現代における管理=制御社会や情報化社会の原型として位置づけた。2017年3月には、カナダ、トロントで開催されたAssociation for Asian Studiesにおいて、Reframing the Concept of “Mass” in Postwar Japanを報告した。これは戦前と戦後における「大衆」概念の変容を論じるものであり、特に同時期におけるサラリーマンの生活のなかでの「能率」の意味の重要性を論じた。 さらに特筆すべき研究業績として、2017年2月に岩波書店より『「能率」の共同体――近代日本のミドルクラスとナショナリズム』を出版した。本書では、第一次大戦後から高度成長期までのナショナリズムの言説の変容を、産業技術と社会の変容との関連から論じた。社会学の領域にとどまらず、思想史やメディア論に関わり、文化や教養といった概念を産業技術との関わりのなかで位置づけなおした本書は、本研究のさらなる展開のための一歩となると思われる。
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Research Progress Status |
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(5 results)