2015 Fiscal Year Annual Research Report
買い物弱者対策事業の効果の定量的評価手法とその運用;地域に適した事業提案のために
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15H06620
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
関口 達也 中央大学, 理工学部, 助教 (90758369)
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Project Period (FY) |
2015-08-28 – 2017-03-31
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Keywords | 買い物弱者 / 対策事業 / 消費支出 / 空間分布 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年には、既存研究の整理を行うとともに、消費支出の推定モデルの作成を行うための分析対象年度・地域の決定、また、説明変数の収集、作成を行った。欧米諸国の既存研究のレビューを踏まえて、食料品の買い物弱者問題を扱う上での消費支出を指標とした分析の有効性を確認した。対象地域の決定には、買い物弱者対策の事業の施行状況として、平成24年度地方公共団体買い物弱者支援関連制度一覧(経産省 2012)を参考とし、事業実施自治体の数・空間スケール、事業の種別や複数事業の併用状況等を分析したうえで、関東地方と中部地方の市区町村を対象地域と定めた。また、事業施行からその効果が表れるまでの時間的なずれを考慮し、2012年の施策実施状況を踏まえて2013年の対象地域の市区町村の消費支出を推定する事とした。 消費支出の推定モデルの作成には、被説明変数として、各市区町村を単位とした(各種)食料品の消費支出のデータを用いる。 説明変数としては、基礎的な統計データ、ArcGISを用いた複数データを組み合わせて作成した指標を整備している。これまでに、市区町村を単位としたデータとして、食料品店(大規模店舗・非大規模店舗)やコンビニエンスストアから500m以内の人口分布(年齢階層別)、自動車保有台数、バスの運行頻度、到達可能な商業集積数、とその業種構成の多様性、過疎地域の該当の有無、農家(販売・自給)数と地域の標高・傾斜に関するデータ等の整備を終えている。 また、本研究における既存研究のレビューの成果の一部を学会誌へ寄稿した。さらに、研究の準備段階としてモデルの説明変数に店舗に関する空間データを用いる事の有用性を検証するため、ケーススタディ的に地方都市中心部と過疎地域の食料品店を含む店舗・事業所の立地状況の分析を行い、両地域の差異の大きさを行った。この成果についても、学会での口頭発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
対象地域の設定のために、当初集めていたデータ全国的な買い物難民実施施策のリストに追加的な情報を集約する必要があったこと、また、説明変数として収集した各種統計指標は、利用可能な年度がそれぞれにやや異なり市区町村単位への集計単位の統一の際に個々のデータごとに処理(市区町村合併への対応、異なる空間単位への再集計)に予想以上に時間を要してしまったことから、当初もくろんでいた消費支出を推定するモデルの構築までには至らなかった。 ただし、モデル推定のためのデータは着実に収集が進んでいることや、実際に過疎地域と地方都市中心部の間の商業環境の地域差を準備段階での分析により把握することはできた。これらは、平成28年度の研究進捗をスムーズにすると考えられる。よって、当初の計画からの行程の遅れを併せて考慮し、研究計画の全体の進捗はやや遅れていると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は、地域の消費支出額の消費モデルの構築をまず進める。このモデルは、その後行う買い物弱者対策事業の評価の差異に重要な位置づけを要するため、精度の高いモデルを目指す。 さらに、モデル構築後には、その中で事業の実施が地域の食料品の消費支出の増加に一定の効果を上げていると考えられる地域群の事業の実施数・種類・組み合わせなどの観点から、事業効果の効果があがりやすい施策の実施の状況について分析を行う。また、実施される事業が効果を上げるか否かは、各地域の地域特性にも影響を受けると考えられる。そこで、事業の効果が上がりやすい/にくいとされる地域に共通する地域の都市的特性・商業環境等についても併せて分析を行う予定である。例えば、それらの地域特性と施策の実施状況を併せた説明変数を作成しモデルに取り込むことで、回帰モデル中でも一定の検討が可能と考えられる。もしくは、消費支出額のモデル推定値からの乖離の大きさに着目して、対象地域の各市区町村を分割し、各種の統計データから、それらに共通する地域特性を分析から見つけるなどの方面からの検討を考えている。
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Research Products
(2 results)