2016 Fiscal Year Annual Research Report
On the Interpretation of the Principle of Equality in Constitutional Law : Toward the Rectification of Discrimination arising from Social Structure
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15H06624
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
高橋 正明 帝京大学, 法学部, 助教 (50757078)
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Project Period (FY) |
2015-08-28 – 2017-03-31
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Keywords | 憲法学 / 比較憲法学 / 社会構造上の差別 / 私人による差別 / 契約の自由 / 市場秩序 / 公共空間 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、社会構造上の差別の是正のあり方に焦点を当てつつ、憲法上の平等原則の保障内容及び作用を明確化することを目的とするものである。本年度は、前年度の研究成果を踏まえ、社会構造上の差別の一類型である「私人による差別行為」の立法及び司法的規制のあり方について、主にアメリカ及びカナダの議論を参照しつつ憲法の観点から分析を行った。 具体的には、商品の提供や雇用などの場面での私人の差別行為を禁止する法理(以下「差別禁止法理」という。)の諸問題に関する文献の収集・読解を進め、憲法の観点から考察を深めた。その結果、①差別禁止法理が事業者の契約の自由を制約することを踏まえ、事業者が市場を独占している場合に限って同法理を適用すべきとする見解と、②憲法上の平等原則の趣旨に適合するように差別禁止法理の適用範囲を広く捉えるべきとする見解が対立しており、それぞれに理論的意義・課題があることが明らかとなった。 その上で、①または②の立場を採る海外の代表的論者の理論を分析した結果、市場などの公共空間における私人の財産権・契約の自由の行使に対しては、純粋な私的空間とは異なり、憲法上の平等原則の規律がより積極的に及ぶ可能性があるとの知見を有するに至った。また、こうした知見は、私人の差別に関する日本の判例の傾向と一定程度整合するものであることを明らかにした。これらの研究成果は概ね論文として取りまとめたが、いまだ公表に至っていないため、平成29年度中に速やかに公表したい。 また、これらの検討に関連して、差別禁止法に関する判例も含め、アメリカ連邦最高裁の近年の平等判例の展開を整理した。その成果は髙橋正明「平等――ケネディ裁判官の影響力の増加」『ロバーツコートの立憲主義』、髙橋正明「判例評釈 大学入試において人種を考慮して実施されたアファーマティブ・アクションの合憲性」『帝京法学第30巻2号』に反映させた。
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Research Progress Status |
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(2 results)