2016 Fiscal Year Annual Research Report
From Scattering Problems in Quantum Mechanics to Correlation Functions in Conformal Field Theory
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15H06641
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
大谷 聡 日本大学, 理工学部, 助手 (40755542)
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Project Period (FY) |
2015-08-28 – 2017-03-31
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Keywords | 共形代数 / 繋絡作用素 |
Outline of Annual Research Achievements |
1970年にA. M. Polyakovが指摘して以来、共形場理論では2点と3点の相関関数までなら、任意の次元でその関数形が共形対称性から決定できる、ということは広く知られています。この「共形対称性から相関関数の関数形を決める」という手法は、零温度共形場理論の座標表示相関関数については非常にうまく行って良く分かっているのですが、有限温度共形場理論で、更に運動量表示の相関関数については、共形対称性からどのようにしてその関数形が決まっているのか今まで全く分かっていませんでした。実際、3次元以上の有限温度共形場理論では、最も基本的な2点相関関数でさえその運動量表示は今まで分かっていませんでした。
以上の背景の下、最終年度となる平成28年度では、3次元以上の有限温度共形場理論の運動量表示2点相関関数に取り組みました。そして、スカラープライマリー場の場合だけですが、共形対称性からその関数形を決定することに成功しました。用いたのはUnruh効果と、共形場理論の2点相関関数は一般に共形代数の繋絡作用素の積分核であるということと、前年度までに開発してきた繋絡関係式から導かれる漸化式の一般化です。この漸化式は有限温度での共形Ward-Takahashi恒等式と見なせる物で、これは本研究が初めて与えました。また、前年度まではAdS/CFT対応を用いて調べていたのですが、研究の過程でAdS/CFT対応を用いずとも解析できることに気付き、純粋に共形場理論の枠組みだけで定式化することに成功しました。
今までは「有限温度では温度というスケールが入るのだからスケール不変性が明らかに破れる、従って共形対称性から有限温度の相関関数が決定できる訳が無い」という迷信さえあったのですが、その迷信を打ち破る例を構成したという意味で、本研究の意義は深いと思います。
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Research Progress Status |
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(3 results)