2015 Fiscal Year Annual Research Report
スペクトル音楽における新しいテクノロジーと創造性の関係の研究
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15H06659
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
宮川 渉 明治大学, 情報コミュニケーション学部, 講師 (10760051)
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Project Period (FY) |
2015-08-28 – 2017-03-31
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Keywords | 現代音楽 / スペクトラル音楽 / 作曲 / 音楽学 / テクノロジー |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,1970年代から現在に至るまで,フランスを中心に現代音楽の多くの作曲家に多大な影響を与えているスペクトラル音楽における新しいテクノロジーと創造性の関係を考察することである。具体的にはスペクトラル楽派に属する作曲家たちが,フランス国立音響音楽研究所(Institut de Recherche et Coordination Acoustique/Musique,通称IRCAM)のような研究機関の中で,音響学研究者やプログラマーなど,他の分野の研究者との共同作業を通じて実際にどのように作品制作に取り組んでいるかを検証する。 この目的を達成するため,本年度は,①資料収集・分析,②研究対象作品の選択,③すでにスペクトラル音楽において極めて重要と見做されている作品の分析,という三点を中心に研究を行なった。①を進めるために,日本国内及びフランスでの収集可能な資料の調査にあたった。特にフランスではこの研究を推進するために重要な参考資料(書籍,録音,楽譜)を入手することができた。現在,先行研究の知識を深めること,そして研究対象作品を選択すること,というふたつの目的のためにこれらの資料を調査している。②に関しては,①の調査から5つから6つの作品に絞り込み,これらの作品を中心に今後の研究を進めていくことを予定している。③においては,特にフランス人作曲家フィリップ・ルルーのエレクトロニックスとアンサンブルのためのVoi(Rex)(2002)の分析を進めている。 また第20回国際音楽学会東京大会における研究発表に応募し受理された(2017年3月に発表予定)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成27年度は,ほぼ当初の計画通りに資料収集・分析を進めると同時に楽曲分析にも着手した。しかし,計画していたスイスでの調査は,フランスでの資料収集・分析に時間がかかり,手が回らなかったので次年度に実施する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの調査を続ける一方,平成28年度に予定している海外での実地調査の準備も進める。今後は研究成果の発表も積極的に行なうつもりである。 また「研究実績の概要」で述べたとおり,第20回国際音楽学会東京大会において,スペクトラル音楽のアプローチと日本人作曲家黛敏郎の『カンパノロジー・エフェクト』の比較研究についての発表をする予定なので,その準備にも取り掛かる。
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Research Products
(2 results)