2015 Fiscal Year Annual Research Report
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15H06663
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Research Institution | Meiji Gakuin University |
Principal Investigator |
広瀬 要輔 明治学院大学, 経済学部, 助教 (10761398)
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Project Period (FY) |
2015-08-28 – 2017-03-31
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Keywords | 計量経済学 / オークション |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究はオークションのデータを用いた構造推定に関する研究である。オークションは社会経済のいたるところで、様々な目的のもとに利用されており、多様で豊富なデータが蓄積されている。本研究では特に以下のオークションについて研究をおこなった。 日本を含む多くの政府では公共工事入札に「総合評価落札方式」と呼ばれる制度を採用している。通常の入札では入札額のみで落札者が決まるのに対し、総合評価落札方式では入札額のみでなく、おこなう工事の質(騒音レベルや工期など)を総合的に評価することで落札額を決定する。 現状では理論的な困難から総合評価落札方式に関する理論的な研究は特殊ケースに限られており、その適用範囲は狭い。公共工事入札データから入札業者の費用関数を推定する計量経済学上の研究に関しては、計量モデルを構築する理論的な研究・実証分析ともに、さらに少ない。国家経済において公共工事は重要な役割を担っており、この事を考慮すると総合評価落札方式に関する研究はその重要性に比べて不十分といえる。 本研究では日本やアメリカ合衆国で採用されている総合評価落札方式を含む、より一般的な評価方法を扱えるように理論を拡充した。さらに、その理論を元に入札データから入札業者の費用関数を推定する手法を開発した。また、応用として日本の公共工事入札データを用いて実証分析をおこなった。さらに、日本でおこなわれている評価方法と価格のみで落札者を決定する方式、アメリカ合衆国などでおこなわれている評価方法などの比較をおこなった。この研究成果を学会で発表し、ディスカッションペーパーとしてまとめた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究の成果を論文にまとめて国際学術誌に投稿したところ、編集者から総合評価落札方式に関する別の投稿論文と統合するように指示された。 そのために、統合する両論文のすり合わせが必要となった。具体的には表記の統一といった単純な事柄から、両論文の成果を包含できるようにモデル・理論の拡張をおこなう必要が出てきた。そして、拡張に伴う形で均衡の存在・一意性に関する議論など研究の中枢部ともいえる箇所を修正する必要が生じた。現在、この作業を継続中であり、終了次第、速やかに再投稿する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
前述のとおり、投稿先の編集者から総合評価落札方式に関する論文を統合するように指示されている。このため、これまで共同で研究してきた中林純氏に加え、統合するもう一方の論文執筆者である花薗誠氏、鶴岡昌徳氏と共同で研究することになった。 統合することにより、総合評価落札方式に関する理論はより一般的になるものの、同時に均衡の存在・一意性などの議論や得られる結果の評価・考察などを修正していくことになる。また、論文の統合により分量が肥大化した。このため、議論や記述をより簡潔にし、研究成果の可読性をあげる工夫もおこなう。以上の作業が終了次第、速やかに国際学術誌に再投稿する方針である。
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Research Products
(1 results)