2015 Fiscal Year Annual Research Report
児童養護施設におけるネグレクト児の心理的回復プロセスの検討
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15H06668
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Research Institution | Wako University |
Principal Investigator |
菅野 恵 和光大学, 現代人間学部, 准教授 (80760743)
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Project Period (FY) |
2015-08-28 – 2017-03-31
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Keywords | 児童福祉学 / 児童心理学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,複数の児童養護施設にて質問紙調査及び面接調査を実施し,ネグレクト児の実態把握と心理的回復プロセスについて実証的に明らかにすることを目的としている。 平成27年度は,質問紙調査を実施し,ネグレクト児の実態把握を目的とした。児童養護施設2箇所にて2歳から19歳までの児童116人(男児59人、女児57人)に関して,児童の経過を把握している施設職員に対して調査票への記入を依頼し,全員分の回答を得た。調査票の質問項目は,基本的属性,親の生活状況,支援状況,自由記述欄等などから構成された。 その結果,対象児の平均年齢は11.3歳(SD=4.12),入所時の平均年齢は7.27歳(SD=3.72)であった。対象児の被虐待種別として,ネグレクトが最も多く(45.7%),次いで被虐待なし(27.6%),身体的虐待(18.1%)と続いた(Table1)。そこでネグレクト児の特徴を明らかにするため,ネグレクト児と非ネグレクト児に分類した上でクロス集計を行った。カイ二乗検定を行ったところ,外泊(一時帰宅)の実施の有無,親の生活保護の受給の有無,施設内心理療法の実施の有無において有意な偏りがみられた。外泊を行っていないネグレクト児ケースの自由記述内容からは,「母親の精神疾患の影響で食事を与えるのが精いっぱいで風呂に子どもを入れられない」といった養育困難な状況が明らかになった。 ネグレクト児は,問題が顕在化しにくいことで施設内心理療法につながりにくい可能性がある。また,親の精神疾患の影響など外泊を実施するまでに至らない実情を踏まえて関与する必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画通りに質問紙調査が実施され,分析が進められた。一部のデータは未分析であるものの主要なデータの分析はおおむね進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度は,児童養護施設職員20人を対象に面接調査を実施する予定である。多忙な現場で働く職員から有効な質的データを得るために,事前に質問項目を伝えた上で面接に応じてもらうなどの配慮を行い,滞りがないよう推進していく。
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Research Products
(1 results)