2015 Fiscal Year Annual Research Report
血液型抗原Lewis yによる口腔扁平上皮癌の制御機構
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15H06712
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Research Institution | Aichi Gakuin University |
Principal Investigator |
浜村 和紀 愛知学院大学, 歯学部, 講師 (00422767)
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Project Period (FY) |
2015-08-28 – 2017-03-31
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Keywords | 口腔扁平上皮癌 / 血液型抗原 / Lewis y / 糖タンパク質 |
Outline of Annual Research Achievements |
口腔扁平上皮癌細胞において、EGFRに結合するLewis y構造がどのようなメカニズムでEGFRのリン酸化を抑制するのかを解明するために、口腔扁平上皮癌細胞株であるHSC-3の亜株で、Lewis yが発現していない細胞株(Lewis y-)とその細胞にフコシルトランスフェラーゼ(fut1)のcDNAを遺伝子導入したLewis y高発現細胞株(Lewis y+)を用いて以下の実験を行った。 1. EGF刺激60分後、EGFRをBS3でcross-linkして、Lewis y構造の有無によるEGFRの2量体形成能の相違をイムノブロッティングにて検討した。その結果、Lewis y-細胞株の方が、Lewis y+細胞株と比較して、2量体のEGFRの量が約2.5倍多かった。 2. EGF binding assayを用いて、EGFRに付加されたLewis y構造の有無によるEGF結合のキネティクスの相違を検討した。その結果、EGFの解離定数(Kd値)は、Lewis y-細胞株とLewis y+細胞株とでは、有意な差は認められなかった。一方、EGFの最大結合(Bmax)値は、Lewis y-細胞株よりLewis y+細胞株の方が、1.3~2.5倍低かった。 以上の結果より、EGFRに付加されたLewis yが、EGFRにあるEGFの結合サイトを妨害したため、EGFのEGFRへの結合が阻害され、その結果、EGFRの2量体形成が減少し、さらにはEGFRのリン酸化が減弱したことが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
口腔扁平上皮癌において、Lewis y構造結合によるEGFRのリン酸化の抑制メカニズムが徐々に明らかになってきているので、おおむね順調に進展していると思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
口腔扁平上皮癌において、EGFRに結合するLewis y構造が、EGFRのリン酸化を抑制するメカニズムが徐々に明らかになってきた。今後は、この結果、どのような下流分子に影響をもたらし、悪性形質を制御しているのかについても明らかにし、EGFRへのLewis y構造の付加による口腔扁平上皮癌の制御機構について統合的な理解を深めたいと考えている。
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