2015 Fiscal Year Annual Research Report
統合失調症患者の認知機能と身体活動量の関連性の解明
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15H06762
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Research Institution | Kansai University of Health Sciences |
Principal Investigator |
紅林 佑介 関西医療大学, 看護学部, 助教 (10636559)
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Project Period (FY) |
2015-08-28 – 2017-03-31
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Keywords | 統合失調症 / 認知機能 / 身体活動量 / 寛解 |
Outline of Annual Research Achievements |
統合失調症の認知機能の低下は、予後や生活上の支障と強い関連があるため、治療の標的症状となっている。健常者の調査では、身体活動を高めることで認知機能を改善させることが明らかになっているが、統合失調症患者では調査されていない。そこで本研究課題は、統合失調症患者の認知機能と身体活動量の関連性を検討するために、横断的調査と縦断的調査の2つの調査から構成し、本年度では横断的調査を行った。横断的調査では、認知機能と身体活動量の関連性の特徴が入院患者と外来患者とで異なっているかを検討することとした。 対象者は、精神科病院で治療を受けている統合失調症の入院患者16名と外来患者13名とした。調査項目は、属性項目と、PANSSによる精神症状、Cognitraxによる認知機能およびオムロンコーリン社製HJA-750Cによる身体活動量の調査とした。Cognitraxでは総合得点と11の認知機能領域スコアが得られ、各スコアは、健常者の平均値が100、1標準偏差が15となるように標準化されたものとなる。HJA-750Cでは、入浴と睡眠を除き1週間装着してもらった。調査を行うにあたり事前に関西医療大学倫理委員会の承認を得た。 全対象者の平均は、年齢は56.0±11.4歳、罹病期間は27.6±13.0年、抗精神病薬量の一日内服量はクロルプロマジン換算で1057.5±769.6 mg、PANSSの合計点は63.9±15.7であった。外来患者では、身体活動量が多いことは、認知機能が高いことと関連していた。一方で入院患者の場合は身体活動量が多いことは、認知機能が低いことと関連していた。 以上の結果から、認知機能を高めるという側面では、外来患者では身体活動量を高めることが有用である可能性がある一方で、入院患者では過度な身体活動は控えることが必要である可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
調査施設の協力も得られたことから、本年度で予定していた横断的調査を遂行することができた。横断的調査から、統合失調症患者の認知機能と身体活動量の関連性が、入院患者と外来患者とでは異なるという示唆を得られ、研究成果は当初予定していた進捗状況に近いものであり概ね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度では縦断的調査を予定している。研究方法としては、横断的調査で協力してくれた対象者を6ヶ月後に改めて調査することとした。ベースライン時の身体活動量等とその後の認知機能の変化量との関連を検討し、今後の治療および看護上の示唆を得ることを目的とする。
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