2015 Fiscal Year Annual Research Report
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15H06792
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Research Institution | Kyushu Sangyo University |
Principal Investigator |
高橋 主光 九州産業大学, 経済学部, 講師 (60756865)
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Project Period (FY) |
2015-08-28 – 2017-03-31
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Keywords | 労働経済学 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度は、「何が無業者の就業を促進するのか」というテーマに関し、大きく三つの研究成果を得た。まず、「高齢者介護」「デジタル・デバイド」が就業状態、特に無業及び無業者の就業に向けた行動にどのように影響するのか、という研究に関し、労働政策研究・研修機構の資料シリーズとしてそれぞれ刊行が行われた。いずれの研究も、総務省統計局『社会生活基本調査』特別集計データを用いた。研究結果の概要としては、65歳以上の家族を介護することは無業促進的に働くこと、インターネットの利用は無業抑制的に働くことが挙げられる。いずれの研究においても、市区町村別パネルデータ等の疑似パネルデータを作成し、「観察不可能な個人属性」の制御を可能な限り試みた。平成27年度においては、厚生労働省からのチェックを踏まえ、論文の修正・加筆を行い、刊行へと至った。また、「地元志向」が無業者にどのような影響を及ぼすか、という視点の下、インタビュー調査及びウェブアンケート調査を行った。インタビュー調査は、若年無業者の就業支援機関である地域若者サポートステーションや、地域若者サポートステーションと補完関係にあると考えられる機関へのインタビュー調査を行った。対象地域は主に北部九州地域であり、インタビュー調査では「地元志向を持つ無業者は、そうでな無業者と比して就業しやすいのか(あるいはしにくいのか)」という質問を主眼に据えた。インタビュー調査の結果に関しては、九州産業大学より叢書として刊行が予定されている。さらに、インタビュー調査及び今後予定している公的統計を用いた研究を補完するために、「地元志向」に関するウェブアンケート調査を、無業者を対象に行った。当該調査に関しては、「ヒトを対象とした研究」に関するガイドラインに従い、倫理審査を受けた。審査は通過し、また調査に当たっても問題は発生しなかった。現在、調査結果の解析を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成27年度における研究の進捗は、当初の予定とは順序に変更があったものの、概ね順調に進展していると言える。申請時の研究計画では、公的統計を利用した分析の後に、インタビュー調査やアンケート調査を予定していたが、公的統計の利用に当たり、分析のヒントを得ることを目的とし、インタビュー調査とアンケート調査を先に行うこととした。さらに、インタビュー調査を用いた研究が刊行されることとなり、アンケート調査に関しても現在計量分析中である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度は、平成27年度に行ったインタビュー調査及びアンケート調査の分析結果を端緒として、公的統計のマイクロデータを用いた分析に移行する。現在、公的統計のマイクロデータ利用に関する申請作業を開始しており、申請が完了次第、実際の分析及び論文執筆を開始する。分析内容は研究計画書にある通り、「社会的孤立」「高齢者介護」「デジタル・デバイド」「地元志向」がそれぞれ、無業及び無業者の就業に向けた行動にどのような影響を及ぼすかに関するものとなる。平成28年度の研究は、平成27年度の研究実績を下地としたものであると言える。
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Research Products
(3 results)