2015 Fiscal Year Annual Research Report
カルボキシル基を有する天然化合物による活性型グレリン産生抑制効果の検討
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15H06805
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Research Institution | Nagasaki International University |
Principal Investigator |
中島 健輔 長崎国際大学, 薬学部, 助手 (90762162)
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Project Period (FY) |
2015-08-28 – 2017-03-31
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Keywords | 活性型グレリン / カルボキシル基 / 食欲抑制 / 抗肥満 |
Outline of Annual Research Achievements |
グレリンは摂食亢進作用を有するペプチドホルモンであり、3位セリン残基にオクタン酸が結合したオクタノイルグレリン(活性型グレリン)が主にその作用を示すことが知られている。我々は肥満の予防および改善を目的として、遺伝子組み換え細胞を用いた活性型グレリン産生抑制物質のin vitro探索実験系を構築し、活性型グレリン産生抑制物質の探索を行ってきた。これまでの探索の結果、活性型グレリン産生抑制効果を示した物質は全てカルボキシル基を有していた。このことから、活性型グレリン産生抑制作用にはカルボキシル基が関与していると考えられたため、本研究ではカルボキシル基を有する天然化合物を中心に活性型グレリンの産生抑制効果を検討した。 平成27度は、14物質のスクリーニングを行い、7物質(オレアノール酸、アシアチン酸、グリチルレチン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸、エピガロカテキン没食子酸およびクルクミン)の活性型グレリン産生抑制効果を見出した。エピガロカテキン没食子酸およびクルクミンはカルボキシル基を有しておらず、活性型グレリン産生抑制作用にはカルボキシル基の存在は必須の条件ではないことが示された。またカフェイン酸、クロロゲン酸および没食子酸はカルボキシル基を有しているが、活性型グレリン産生抑制作用を示さないことも明らかとなった。さらに現在、in vitroにおいて活性型グレリン産生抑制作用を示したウルソール酸が、マウスの血漿中活性型グレリン濃度に及ぼす影響を明らかにするため、種々の条件で検討を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成27年度は、新規活性型グレリン産生抑制物質の探索ならびにin vitroにおける活性型グレリン産生抑制効果が明らかとなっているウルソール酸およびコロソリン酸のマウス血漿中活性型グレリン濃度への影響の検討を予定していた。このうち、活性型グレリン産生抑制物質の探索については順調に実施することができ、新たに7種の活性型グレリン産生抑制物質を見出した。ウルソール酸およびコロソリン酸がマウス血漿中活性型グレリン濃度へ及ぼす影響については現在、ウルソール酸の濃度、投与方法および投与時間などの条件を変更して検討を進めている段階にあり、コロソリン酸の影響はいまだ検討するに至っていない。以上のことから進捗状況を「やや遅れている」と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度は7種の新規活性型グレリン産生抑制物質を見出した。今年度はそれらの物質の、①マウス血漿中活性型グレリン濃度に及ぼす影響、②活性型グレリン産生抑制の機序、の2点を検討する予定である。①については各物質の混餌による投与およびゾンデを用いた投与の影響を検討する。②については、活性型グレリン産生に不可欠な酵素であるGhrelin O-acyltransferaseおよびFurinのmRNA発現量への影響をリアルタイムPCRにて検討する。さらに活性型グレリン産生抑制物質がグレリンの3位セリン残基に結合するオクタン酸の細胞内濃度の低下をもたらした可能性を考え、細胞内オクタン酸濃度への影響をガスクロマトグラフィーにより、評価する予定である。
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Research Products
(2 results)