2015 Fiscal Year Annual Research Report
モノを通してみる現代ペルーにおける聖人信仰の形成と発展に関する人類学的研究
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15H06842
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Research Institution | National Museum of Ethnology |
Principal Investigator |
八木 百合子 国立民族学博物館, 研究戦略センター, 機関研究員 (80622133)
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Project Period (FY) |
2015-08-28 – 2017-03-31
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Keywords | ペルー / アンデス / キリスト教 / 聖人信仰 / 聖像 / モノ |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、ペルーにおける現在の聖像制作の実態と商品化プロセスの把握を目的に以下の調査を行った。 (1)首都リマにある複数の工房および聖具店を訪問し、聖像の生産形態、デザイン、材質、工房や職人に関する調査研究を行った。その結果、現在の聖像生産の中心となるリマでは、ここ30年ほどで生産市場が拡大してきた点が明らかになった。この背景には農村部から都市部への人口流入が関わっており、地方出身者や大衆層による新たな生産市場が生み出されていることが判明した。 (2)リマ市内の図書館および教会関係施設において、旧来の聖像制作に関する資料の収集を行った。 (3)現代の聖像制作に関して比較検討を行うために、職人による伝統的な聖像制作が未だ主流であるクスコを訪問し調査研究を行った。聖像制作の実態を把握するために、クスコで年に一度開催される恒例の聖像販売市に参加し、この地域を中心に活動する聖像職人に関する調査を実施した。とくにクスコでは、国際的に名の知れた職人が制作する高品質・高価格なものを求める顧客も比較的多く、観光化や地域振興とも相まって特定の商品の価値が上昇する状況が観察され、国内でも制作の実態や市場の動向が二極化している現状が明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
聖像制作の中核を担う二つの地域において現地調査を実施し、聖像制作に関する大方の情報・資料収集を終えた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、聖像制作の変遷と商品化プロセスについてペルーのマクロな社会・経済動向等も視野により詳細な分析・検討を行う。 また、引き続き現地調査を重ねることで、聖像の流通ネットワークおよびモノを通じた信仰形成のメカニズムの解明を目指す。
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Research Products
(1 results)