2015 Fiscal Year Annual Research Report
スギ幹材の放射性セシウム濃度が増加する要因の解明:吸水量の違いが及ぼす影響
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15H06847
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Research Institution | Forestry and Forest Products Research Institute |
Principal Investigator |
大橋 伸太 国立研究開発法人 森林総合研究所, 木材特性研究領域, 研究員 (70754315)
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Project Period (FY) |
2015-08-28 – 2017-03-31
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Keywords | セシウム / 吸水量 / 樹液流量 |
Outline of Annual Research Achievements |
スギ幹材の放射性セシウム濃度の経年変化傾向は生育地域によって異なる可能性が示唆されており、その要因解明は今後の将来予測等を行う上での重大な課題である。本研究では樹木の吸水量がセシウムの経根吸収量を左右する要因となりうるかを検証するため、スギ苗木(3年生および4年生)を用いた水耕実験を行った。その結果、水耕液に安定同位体セシウム(Cs-133)を添加した後のスギ苗木の吸水量と幹材に移行したCs-133量の間に比例関係が見られた。これにより、スギ苗木を水耕で数日~1.5ヶ月栽培するという条件においては、吸水量は幹材へのCs-133移行量を左右する要因であることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
スギ苗木の水耕実験は順調に進展したが、スギ成木を対象とした樹液流観測はセンサー等の調整に時間を要したため予定よりもやや遅れている。また、Cs-133およびCs-137濃度の測定は、装置が使用できない時期があったことや、少量・低放射能濃度の木材サンプルの測定に時間を要したことからやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
スギ苗木の水耕実験で見られた吸水量とセシウム吸収量の比例関係が森林土壌を用いた土耕実験でも同様に見られるかを調べる。また、スギ成木を対象とした樹液流観測を行い、樹液流量と幹材Cs-133濃度の間に関連性が見られるかを明らかにする。
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Research Products
(1 results)