2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15H06858
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
中河西 翔 国立研究開発法人理化学研究所, 古崎物性理論研究室, 基礎科学特別研究員 (80755116)
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Project Period (FY) |
2015-08-28 – 2017-03-31
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Keywords | トポロジカル超伝導 / マヨラナフェルミオン / 超伝導接合系 |
Outline of Annual Research Achievements |
(1)キタエフ梯における超伝導位相の変調 平行に並んだ2本のキタエフ鎖中の相対的な超伝導位相を調べることで、マヨラナ端状態がもたらす特異なジョセフソン結合を議論した。マヨラナ端状態がゼロエネルギーであることに由来してジョセフソン結合は鎖間のトンネル結合の1次の効果として現れるため、通常のジョセフソン結合と位相差が生じる。競合の結果として位相が変調することで有限系においても基底状態に縮退が現れうることを明らかにした。縮退した基底状態は量子情報への応用が期待される。 (2)超伝導秩序と磁気秩序の共存系に現れる束縛状態 従来型超伝導状態を示す電子に対してトポロジカルに非自明なスカーミオン構造をもつ局所磁場の影響を調べた。磁気不純物周りに局在する状態として良く知られるシバ状態に類似の状態がスカーミオンの中心に現れることを明らかにした。ただし本研究で得られた状態は波動関数が冪的に減衰する点において両者は質的に異なることを示した。実験においてはスピン偏極電流を用いた走査トンネル顕微鏡によってその状態を観測できることを指摘した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(1)キタエフ梯における超伝導秩序の位相変調を議論し、マヨラナ状態に起因する非自明な効果を見いだした.研究計画に沿って研究を遂行し期待する結果を得ることが出来たといえる. (2)超伝導体と磁性体の界面に現れる共鳴状態を議論した.異なる秩序の接合に現れる物性を見いだしたことで研究目的に合致した結果であるといえる.
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Strategy for Future Research Activity |
1.磁場下のキタエフ梯を調べていく.マヨラナ状態の存在に由来する特異的な振る舞いを見いだすことが出来れば、実験におけるマヨラナ状態の検出に重要な理論提案を与えられると期待される. 2.超伝導/スカーミオン接合系において複数のスカーミオンが存在している際に、それぞれのスカーミオン中心に局在した共鳴状態間の相互作用を調べる.シバ状態間の相互作用に関しての研究を参考に冪的な振る舞いがもたらす質的な違いを探索する.
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Research Products
(1 results)