2015 Fiscal Year Annual Research Report
内部メカニズムの推定に基づくモデルベース歩容認証の新規識別手法の開発
Project/Area Number |
15H06874
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Research Institution | National Research Institute of Police Science |
Principal Investigator |
井元 大輔 科学警察研究所, 法科学第二部, 研究員 (10760902)
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Project Period (FY) |
2015-08-28 – 2017-03-31
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Keywords | 法科学 / 歩容 / モデルベース手法 / 個人識別 / 非線形数理モデル |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、まず、基礎データとして、歩行データの取得を行った。研究所内で約20人の被験者に対して、複数の日に歩行運動の実測を行った。実際のモデルベース手法では防犯カメラの画像から関節座標を抽出するが、本研究では関節座標が既知の上での識別問題に集中するため、距離画像センサにより得られる関節座標データを使用した。まず、既存研究と同様に同一人クラスに関して単一の日に取得した場合について、既存のモデルベースの識別手法による識別を行った結果、平均誤り率は元論文より数パーセント大きい数値となった。これはデータが1歩程度と短いためだと考えられる。次に、同一人クラスに関して、複数の日(二日)に取得したデータを用いた場合、単一の日のみの場合よりも数パーセント識別率が減少することが分かった。既存手法を用いた場合、複数の日に計測した場合の個人内変動により、識別率が低下することが分かり、この問題を改善する必要があることが分かった。 さらに、有効となり得る資料条件を探るため、既存のモデルベース手法をもとに特徴点と形状情報に基づく自動処理の手法を開発・検討した。解像度、フレームレート依存性を調べた結果、フレームレートの低下に対して頑健であることが分かった。しかし、解像度・フレームレートに対する依存性は依然として大きいので、まだこれらを改善させる必要がある。 一方、歩行運動の内部メカニズムを表現した数理モデルとして結合振動子モデルに関して、関節運動を模した座標運動のシミュレーションを行った。このシミュレーションにより得られた時系列データを使い、方程式の形式が既知であるとした場合に、PLS回帰を用いてパラメータを推定する手法を検討し、データが十分な場合に良好な推定結果となることを確認できた。 本研究課題に関して得られた研究成果は、法科学技術学会及びビジョン技術の実利用ワークショップにおいて発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り、距離画像センサにより得られた関節運動のデータベース作成、既存のモデルベース手法による識別率の評価、歩行運動を表現した数理モデルのパラメータ推定手法の基礎的な検討ができた。ただし、実測データを用いた数理モデルのパラメータ推定手法の評価は予定より十分にできなかった。また、実測データを用いた数理モデルのパラメータ推定に関しては、取得したデータが1歩程度と短いという問題があるものの、次年度検討をする上では差し支えない。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、実測データから推定した数理モデルのパラメータを用いた個人識別を検討する。パラメータ推定手法をPLS回帰を用いるものに限定し、モデルを変化させた場合に個人識別がどのような場合に改善されるかを検討する。モデルに関しては、いくつかの結合非線形振動子モデルの結合関係を隣接する関節とした場合について検討を行う。 資料条件としては、フレームレートの低下に対する頑健性の調査を行い、既存手法と比較する。また、既存手法で課題であった複数の日に取得した場合の個人内変動を改善する場合があるかどうか調査を行う予定である。
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Research Products
(2 results)