2015 Fiscal Year Annual Research Report
Investigation for roles and mechanisms of HIV-encoded antisense RNA on the viral latency
Project/Area Number |
15H06877
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Research Institution | National Institute of Infectious Diseases |
Principal Investigator |
小林 美栄 国立感染症研究所, 免疫部, 研究員 (00748337)
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Project Period (FY) |
2015-08-28 – 2017-03-31
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Keywords | アンチセンス鎖RNA / HIV / 潜伏化 / ASP |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度はヒト後天性免疫不全ウイルス(HIV)由来アンチセンス鎖RNA(AS RNA)のHIV潜伏化における役割を明らかにすることを目的とした。モデルHIV(moHIV)感染で観察される3つの細胞集団;センス鎖のみを発現する細胞(S+)、アンチセンス鎖のみを発現する細胞(AS+)、両者とも発現しない細胞 (DN)の関係性及びその後のウイルス発現挙動を明らかにするため、3者を分画した。これらをPMA・Ionomycinで処置してセンス鎖発現のレポーターであるmCherryの発現について調べた。各分画のプロウイルス量の結果と本結果を照らし合わせると、DNでは70%の感染細胞が再活性化したと見積もられたが、AS+では見積2%程度が再活性化しただけであった。そこでシークエンス解析によりAS+が保持している moHIV プロウイルスのゲノム配列の異常について調べた。本実験の結果、AS+のプロウイルスのほとんどはmCherry配列が欠損しており、それ故AS+集団の再活性化が観察できなかったと結論できた。 本研究では最終的にmoHIVで確認できた現象を野生型HIVで検証することを予定している。野生型HIV由来のAS RNAの発現を一細胞レベルで解析するツールとして、AS RNAから翻訳されるAnti-Sense Protein(ASP)に対する免疫染色法を試みる。本系のための準備として、今年度はASPの免疫染色に使用できる抗体の作製を行った。無細胞発現系で大量合成したASPの細胞外ドメインと予測される領域(ASPEX)をマウスに免疫してモノクローナル抗体の作出を試みたが、ASP特異的な抗体は得られなかった。そこで、抗原性の高いと予測された領域のアミノ酸配列を基に4種のペプチドを作製し、マウスに免疫した結果、1つのペプチドで免疫染色に使用可能な抗体を10クローン得ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ASPの抗原性が全体的に低く、当初予定していたASPEX抗原を用いたモノクローナル抗体の作製がうまく行かなかった。そのため当初の予定を4ヶ月繰越し、新たな抗原を用いて抗体作製を行った。繰越終了後の現在では目的の抗体を複数得ることができている。
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Strategy for Future Research Activity |
得られたAS+細胞のほとんどが欠損ウイルスを保持していることから、moHIVの全長遺伝子を保持したAS+及びDN細胞をクローン化し、それらクローンの再活性化に対する挙動を正しく評価する。さらに、クローン化した細胞を用いてAS RNAによる潜伏化維持のメカニズムを解析する。従来の研究報告に基づくと、AS RNAがプロウイルスゲノムのエピジェネティック環境を変えることによりウイルス潜伏化に貢献しているのではと予測される。そこでエピジェネティック解析を中心に、AS RNAの潜伏化維持メカニズムを探求する。 また、入手した抗ASP抗体の特徴解析をクローンごとに行い、今後の解析に最も適したクローンを選出し、野生型HIV感染細胞の免疫染色解析を行う。 最終年度として上記を取りまとめ、学会ならびに学術論文にて発表する。
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Research Products
(1 results)