2015 Fiscal Year Annual Research Report
腫瘍(自己)抗原に対する免疫不応答の解除に基づいた新規がん免疫療法の基盤研究
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15H06878
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Research Institution | National Cancer Center Japan |
Principal Investigator |
前田 優香 国立研究開発法人国立がん研究センター, その他部局等, 研究員 (20757223)
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Project Period (FY) |
2015-08-28 – 2017-03-31
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Keywords | 腫瘍免疫 / 抗腫瘍免疫応答 / 制御性T細胞 / 不応答 / 悪性黒色腫 |
Outline of Annual Research Achievements |
制御性T細胞(Regulatory T cell:Treg)が自己反応性CD8+ T細胞を安定した不応答(アネルギー)状態に陥らせることにより長期の免疫寛容を成立させていること、またこれらの不応答T細胞が特徴的なフェノタイプ(CCR7+CTLA-4+)を持つことを報告した。近年、Tregによる抗腫瘍免疫応答抑制により、がん免疫療法の効果が十分に発揮されていないことが指摘されている。がん抗原の多くが自己抗原由来であることを鑑みると、Tregによる抗腫瘍免疫応答抑制と不応答誘導の関連が示唆される。本研究では、悪性黒色腫検体(腫瘍局所浸潤リンパ球:TIL)を用いて、腫瘍微小環境でのTregによるエフェクターT細胞(特にCD8+ T細胞)への不応答状態の誘導とそのメカニズムを明らかにするとともに、CD8+ T細胞/Treg比や不応答状態のエフェクターT細胞の存在と予後と相関を検討し、新たな治療標的およびバイオマーカー同定に向けた基盤検討を行うことを目的としている。本研究において、悪性黒色腫局所に浸潤している腫瘍(自己)抗原特異的CD8+T細胞のフェノタイプ解析と機能解析を行うとともに、CD4、CD45RA、FoxP3の発現によりTregを同定する手法を用いたTregの解析、抗原提示細胞への影響を明らかにして抗原提示細胞を介したTreg抑制メカニズムの重要性にアドレスする。またこれらのTregにより抑制された不応答性CD8+T細胞の浸潤頻度が病態・予後と相関するのか検討予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
悪性黒色腫局所検体の回収において、原発巣では病理診断が最優先されるべき事項である。よって、末梢血と組織を同時に回収可能な症例は限られている。その点を考慮し、初年度に引き続き次年度も解析と並行し検体のサンプリングを精力的に遂行する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
フローサイトメトリーでの解析と並行し、初年度に引き続き検体の回収を進める。また、免疫チェックポイント阻害剤治療を受けた患者検体の投与前後から悪性黒色腫局所(生検検体)および患者末梢血より単核球を分離・保存を行う。予備的検討で生検検体によりフローサイトメトリー解析が可能であることは明らかにしている。保存された検体を用いて腫瘍抗原特異的CD8+T細胞のフェノタイプを前検討し、不応答性フェノタイプを持ったCD8+T細胞頻度と治療効果との相関を解析する。加えて、疲弊T細胞マーカー(PD-1、Tim-3、LAG3、TIGIT等)の発現、Fr. II活性化Tregの頻度とCD8+T細胞(不応答性 vs 活性化)の浸潤頻度も治療効果との関連を検討し、バイオマーカー同定、ひいては新規の標的分子の同定につなげる。
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Research Products
(3 results)