2015 Fiscal Year Annual Research Report
EGF受容体および不良ミトコンドリアにおけるユビキチン修飾の実体解明
Project/Area Number |
15H06882
|
Research Institution | Tokyo Metropolitan Institute of Medical Science |
Principal Investigator |
土屋 光 公益財団法人東京都医学総合研究所, 生体分子先端研究分野, 研究員 (90760132)
|
Project Period (FY) |
2015-08-28 – 2017-03-31
|
Keywords | タンパク質分解 |
Outline of Annual Research Achievements |
ユビキチンによるタンパク質の翻訳後修飾は、タンパク質分解のみならず、シグナル伝達や、タンパク質の輸送など広汎な生命機能を制御することが明らかとなってきた。ユビキチン修飾が多彩な機能を発揮することを可能としているのがユビキチン修飾の構造多様性である。ユビキチン修飾の構造は、「ユビキチン鎖の種類」、「長さ」、「翻訳後修飾」、「複雑さ」の4つの要素から成り立つ。本研究では、申請者が開発したユビキチン鎖長決定法および質量分析計によるユビキチン鎖の高感度絶対定量法を用いて、2つの重要なユビキチン依存的経路(1)増殖因子受容体のダウンレギュレーションと(2)マイトファジー(ミトコンドリアのオートファジー分解)に焦点を当て解析することで、同経路におけるユビキチンシグナルの実体とデコーティング機構を時空間的に解明することを目的とする。EGFRや損傷ミトコンドリアのユビキチン化について既に数多くの報告があるが、研究者ごとに異なる結果であり、混沌としているのが現状である。その要因としてユビキチン鎖の種類のみ注目されてきた経緯が挙げられる。本研究は、申請者自身が開発したユビキチン修飾解析法により、EGFRおよび損傷ミトコンドリアに提示されるユビキチンシグナル(ユビキチン鎖の長さなどを含めたユビキチン修飾の全ての情報)を時空間的に解析する。本年度はEGF依存的にEGFRに付加されるユビキチン鎖の種類を明らかとした。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
EGFRはEGF刺激により数分の間にポリユビキチン化され、エンドサイトーシスにより取り込まれた後、リソソームまで運ばれ分解される。一方、エンドサイトーシスされたEGFRの一部は脱ユビキチン化酵素USP8によりユビキチン鎖が除去され再び細胞膜に局在化する(Mizuno et al, Mol Cell Biol, 2005)。先行研究によりEGFRはK11、K48、K63鎖型のユビキチン修飾を受けることが報告されている(Huang, F et al, Mol Cell, 2006)が、鎖の種類と長さの関係については依然不明である。そこでFLAGタグ融合EGFR発現細胞を作製し、EGF刺激依存的に付加されるユビキチン修飾の種類を検討した。この結果、EGF刺激依存的にEGFRは主にモノユビキチン化およびK63鎖が付加されていることが明確となった。
|
Strategy for Future Research Activity |
現在までに解析のすすんでいるEGFRに焦点をあて解析を進めていく。EGF刺激後、EGFRを免疫沈降し、Ub-ProT法によりEGFRに付加されたユビキチン鎖の鎖長情報を得る。次いで、Ub-PRM法により各長さのユビキチン鎖にどのようなタイプのユビキチン鎖が含まれるか解析する。次いで、経時的に解析することで、EGFRに付加されるユビキチン修飾の変動を生化学的にモニターする。一方、USP8のノックダウン時、リソソーム阻害時において同様に解析する。ノックダウン実験と並行して阻害剤を用いた解析も並行して行う。
|
Research Products
(1 results)