2015 Fiscal Year Annual Research Report
Basic study on a new assistive technology for people suffering from Autism Spectrum Disorder using a multimodal tactile display
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15H06888
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
近井 学 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 人間情報研究部門, 研究員 (60758431)
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Project Period (FY) |
2015-08-28 – 2017-03-31
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Keywords | ヒューマンインタフェース / 発達障害 / 触覚 / 質感情報 / 人間計測 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、先天的な触覚機能の過敏・鈍麻傾向がある人たち(発達障害がある児童など)の知覚異常を客観的に評価する手法の実現に向け、触覚の質感情報を客観的に評価できる刺激呈示デバイスの実現を目指している。その中でも発達障害がある児童が苦手と言われている痒みや痺れといった痛みに起因した触覚刺激に着目し、開発するデバイスの仕様はこれらの苦手な刺激を人工的に生成するものを検討した。本年度は、発達障害がある児童などが苦手としているちくちくとした刺激を呈示することが可能なフォンフライ式圧痛覚計を利用したタッチテストの刺激呈示方法の有効性の検証を行った。この実験では、タッチテスト時の手の動きと与える物理刺激の関係を明らかにするために、3次元動作解析装置で実験被験者の圧痛覚計を握った動きを計測し、力センサで圧刺激の大きさを計測した。次に、ポジショニングステージで手の動きを代替した場合の圧刺激の大きさを同様に計測した。これらの実験の結果から、圧刺激は動作や座屈数による影響があり、一定した刺激呈示が難しいことを示した。次に、痒みや痺れといった痛みに起因した刺激を惹起させるための一つの手段として、温度刺激と振動刺激を呈示する2つの物理刺激の呈示と、被験者が刺激呈示デバイスの表面に触れている時に生じる荷重を調整することが可能なデバイスを試作した。このデバイスでは、従来のタッチテストによる圧刺激に比べて、それぞれの物理刺激は独立して呈示することや呈示する物理刺激(例えば表面温度や振動周波数など)を決められた値に調整することができるため、再現性がある物理刺激を可能とした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は、先天的な触覚機能の過敏・鈍麻傾向がある人たち(発達障害がある児童など)の知覚異常を客観的に評価する手法の実現に向け、最適な触覚の物理刺激の呈示手法を探るための従来のフォンフライ式圧痛覚計を利用したタッチテストの有効性を確認した。その結果から、圧痛覚計を用いた圧刺激は動作や座屈数数による影響により一定した刺激呈示が難しいことを発見した。この圧痛覚計に代替する刺激呈示のための物理刺激の選定や、複数の刺激を組み合わせる方法についての検討を進め、装置の試作、さらに実験の準備を行っていることから、おおむね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度には、再現性のある物理刺激を用いた触覚刺激呈示デバイスによる触覚の客観的評価方法を構築するため、はじめに、触覚の知覚異常がない健常被験者に実験協力を依頼し、試作したデバイスを用いた評価実験を実施する。ここでは、刺激呈示デバイスが触覚刺激を呈示した場合に、痛みに起因する擬音語などを含んだ複数の触覚の質感情報をどれだけ知覚しているかを7件法の尺度で評価してもらい、提案した刺激呈示デバイスの有効性を評価する。そして、この評価実験を通じて、触覚の質感情報の評価指標の構築と、本研究の目的である触覚の知覚異常の客観的評価手法の実現に向けて研究を推進させる。
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Research Products
(2 results)