2016 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15J00033
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
石田 真子 上智大学, 理工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2017-03-31
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Keywords | 知覚的補完 / 音韻修復 / 音声知覚 / 時間反転音声 / 錯聴 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度の研究活動では、日本学術振興会に提出済みの年次計画の通り、「音声の全体を崩し、その崩れた音声を(知覚上で)修復して聞く能力を見る実験(文レベル)」を行った。具体的には、音声波形全体を、音声の開始地点から、一定の短い時間区間(例: 50 ms)ごとに切り分け、それぞれの区間を時間軸上で反転させて、再度連結させた「時間反転音声(locally time-reversed speech)」を用いて音声聴取実験を行った。 実験用の刺激音作成にあたっては、文レベルの英語音声を使用した。その際、一つの音声文に対して、6種類の時間反転音声(10, 30, 50, 70, 90, 110 ms)を作成した。この「時間反転音声」上には、オリジナルの音声波形の情報は全く存在しないが(=物理的に元の音響信号の時間配列が存在しない音声)、そのような音声が、英語の母語話者・第二言語習得者にどのように聴取されるかを調査した。 実験の結果、母語話者の方が、第二言語習得者よりも、時間反転音声を知覚上で修復できることがわかった。また、時間反転区間が比較的短ければ(例:10 ms)、音声の明瞭度が保たれるが、時間反転区間が長くなるにつれて(例:110 ms)、音声の明瞭度が低下することがわかった。 音響的に崩れた音声を知覚上で補完するためには、トップダウンの言語的な情報と、ボトムアップの音響的な情報が組み合わされて統合されると考えられるが、トップダウンの情報処理においては、言語の習熟度が高ければ高いほど、崩れた音声を修復できると考えられる。一方で、言語の「習熟度が高い」とは何を指すのか、については、今後も検証していかなければならない。言語の習熟度の定義の仕方、測り方を考えると同時に、「(特定の指標に基づく)習熟度」と「音声知覚力」の関係について、より詳しく調べていくことは、今後の大事な課題である。
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Research Progress Status |
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(4 results)