2017 Fiscal Year Annual Research Report
W・ベンヤミンの言語思想と批評実践――そのアソシエーション構想の可能性
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15J00129
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
小林 哲也 日本大学, 文理学部, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2018-03-31
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Keywords | ヴァルター・ベンヤミン / カール・クラウス / ゲルショム・ショーレム / 「ユダヤ性」をめぐる問い / インゲボルク・バッハマン / メシアニズムの諸相 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度はまず前年度の研究成果の発表を行いながら、研究を進めた。前年から力を入れていたベンヤミンとゲルショム・ショーレムのカール・クラウス受容に関しての比較研究の成果は、論文(Mosaikstil oder Epigonentum. Die Kraus-Interpretation von Gershom Scholem und Walter Benjamins Kraus-Essay)として平成30年3月に刊行された日本独文学会の学会誌に発表している。 研究をすすめるに際しては、ベンヤミンとショーレムの「ユダヤ性」への姿勢の差異を適切に理解するべく、ベンヤミンのみならずショーレムの思想形成およびその展開について詳細に検討した。ショーレムの生涯と思想に関しては、晩年の彼がインゲボルク・バッハマンに宛てた手紙に着目し、青年期からの変遷を見通すべく研究を進めた。シオニズムへの希望とその挫折がショーレムの思考を形作っていることを明らかにし、そのことについてドイツ現代文学ゼミナールで発表を行い、これに関しては、論文「残された「嘆き」の声――インゲボルク・バッハマンに宛てたゲルショム・ショーレムの詩」として神戸ユダヤ文化研究会発行の『ナマール』第22号に発表した。 その後、ショーレムの思想の変遷とシオニズムをめぐる葛藤を踏まえて、ショーレムとベンヤミンのカフカをめぐる論争について検討し、両者の対立点について研究をすすめた。これに関しては、2018年初夏に岩波書店より発行の『思想』掲載予定の論文で詳細に論じている。本年の研究は、当初構想していた課題とは異なったものとはなったが、ベンヤミンとショーレムの比較をもとに、両者の「メシアニズム」の意義と差異を明らかにするとともに、ベンヤミンの「ユダヤ人」としての自己理解の内実に迫る、充実したものとなった。
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Research Progress Status |
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(4 results)