2015 Fiscal Year Annual Research Report
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15J00184
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
畑中 美帆 大阪市立大学, 大学院理学研究科, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2017-03-31
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Keywords | グラフ / コホモロジー表現 / トーリック多様体 / ルート系 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度は主に頂点数の少ないサイクルグラフと,完全グラフから辺を1本除いたグラフに対応するトーリック多様体のコホモロジー環の表現について調べた.どちらの場合も,Procesiが完全グラフに対応するトーリック多様体のコホモロジー表現を求めた2つの方法のうちの1つを用いている.しかし,この方法では,頂点数の多いサイクルグラフの場合は表現を求めることができなかった.そこで現在では,Procesiが用いたもう一つの方法を使って,サイクルグラフの表現を求めている最中である.1つめの方法で表現が求められなかった原因はすでにわかっており,その原因が生じないグラフを模索したところ,完全グラフから辺を1本除いたグラフであった.このグラフに対応するトーリック多様体のコホモロジー表現は頂点数によらず求めることができた. 完全グラフに対応するトーリック多様体はA型ルート系に対応するトーリック多様体と同じである.このことから,ルート系に対応するトーリック多様体のコホモロジー表現を求めるという問題が出てくる.私は今年度にB型ルート系に対応するトーリック多様体のコホモロジー表現を考えた.ルート系の場合,ワイル群による表現を考えることになり,B型ルート系のワイル群は符号付対称群である.対称群であれば,表現の誘導と制限は組合せ論的数を使って表すことができる.しかし,符号付対称群の場合,表現の誘導と制限を既約表現を使って表す方法はまだ知られていない.このため,B型ルート系の場合,コホモロジー表現を誘導表現を使って表せすことはできたが,その誘導表現を既約表現の和で表すことはまだできていない.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
グラフに対応するトーリック多様体のコホモロジー表現は,完全グラフの場合以外は知られていなかった.私は27年度にサイクルグラフに対応するトーリック多様体のコホモロジー表現とB型ルート系に対応するトーリック多様体のコホモロジー表現について調べる予定であったが,サイクルグラフは頂点数が少ないものしか表現を求められなかったが,その代わりに完全グラフから辺を1本除いたグラフに対応するトーリック多様体のコホモロジー表現を求めた.またB型ルート系に対応するトーリック多様体のコホモロジー表現は完全ではないが,ほぼできている.以上のことから,27年度の研究はおおむね順調に進展している.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,サイクルグラフに対応するトーリック多様体のコホモロジー環の二面体群の表現を引き続き調べる.そのためにはまず,サイクルグラフに対応するトーリック多様体の同変コホモロジー環の表現を調べる.この同変コホモロジー環の表現は,二面体群の誘導表現を用いて表す. ルート系に対応するトーリック多様体のコホモロジー表現も考える.現在はB型ルート系の表現のみある程度までできたが,他のルート系に対応するトーリック多様体のコホモロジー表現はまだ求めていないため,それを考える. 次に,どの2頂点のペアの間にもn本ずつ辺があるpseudographに対応するトーリック多様体のコホモロジー表現を考える.Pseudographからのトーリック多様体の構成は,単純グラフからの構成とは少し異なるが,辺の数が多い方が表現を求めやすいように思われるため,まずはこのようなグラフから表現を考える.
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Research Products
(5 results)