2015 Fiscal Year Annual Research Report
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15J00283
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Research Institution | Tsuda College |
Principal Investigator |
南部 智史 津田塾大学, 学芸学部, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2018-03-31
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Keywords | 助詞交替 / 言語変異 / 統語論 / 心理言語学 / 情報構造 / コーパス / 言語変化 / 定量的分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
27年度は当初計画の1年目だがこれまでの研究の蓄積もあったため、国際学会を含む場で3件の口頭発表と1件のポスター発表を行なうことができた。また、国立障害者リハビリテーション研究所において招聘講演を行った。研究成果物としては、書籍の一部を担当する形でこれまでの研究成果のまとめと今後の研究課題を掲載した。 27年度の主な研究活動は当初の研究計画に従う形で、(1)コーパスを用いた言語変異の使用実態の調査、(2) 言語変異と情報構造の関係に関する実験、の2点を行った。これら調査と実験の成果は関西言語学会、日本言語学会、国際言語学会において報告を行った。 研究活動を具体的に述べると、(1)主格・対格交替のコーパス調査では、「日本語話し言葉コーパス」と「現代書き言葉均衡コーパス」を用いて目的語につく格助詞「が」「を」の使用状況を調査した。この調査では、先行研究にはない包括的な形で言語使用の状況を捉えることができた。また、主語につく「が」「の」の交替については、大正・昭和初期の話し言葉コーパスを用いることで「の」から「が」への言語変化を観察することができ、その変化に影響を与える言語環境自体の変化も突き止めることができた。 (2)言語変異「が」「を」と情報構造の関係に関しては、文脈をつけた文の容認度判断実験を行なった結果、「が」目的語と焦点には「を」目的語には見られない関係があることが実証された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画の通り、コーパスを用いた言語変異の使用実態の調査と言語変異と情報構造の関係に関する実験を行うことができた。27年度は受入研究員の海外異動に伴い自身の所属機関を異動することになったが、当初の計画をほとんど変更することなく研究を円滑に遂行できた。特に、27年度の研究成果は関西言語学会、日本言語学会、国際言語学会において報告することができたことも加えて、研究計画に基づく進行状況は順調であると思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
27年度は当初の研究計画に従い順調に研究を遂行できたが、そこで明らかとなった課題は次年度の計画に適宜反映される必要がある。28年度は特に「文理解の認知処理」と「韻律から見た情報構造」の2点に関して実験を通して経験的知見を得ることを優先すべきと思われる。 具体的には、27年度は主格・属格交替に関するコーパス調査から「の」から「が」への言語変化を確認することができたが、その原因を今後より詳細に調べる必要がある。特に、その変化の1要因とも考えられる「の」の持つ多義性が文理解における認知処理にどのような負荷を発生させているかについて、心理言語学的実験により経験的データを得る予定である。 主格・対格交替については、27年度のコーパス調査では先行研究にはない包括的な形でその使用状況を捉えることができたため、今後はその言語使用を引き起こす原因を特定する必要がある。また、27年度の文脈を用いた情報構造に関する実験結果を踏まえて、28年度は韻律を利用した実験を行い、これまでに観察されている言語と情報構造の相関関係を支持するデータが得られるか検討する予定である。 28年度の具体的な研究成果報告には、国内・国外での学会発表に加えて、主格・属格交替、主格・対格交替ともにこれまでの成果をまとめて国際学術論文誌に投稿することを目標としている。
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Research Products
(6 results)