2015 Fiscal Year Annual Research Report
広範囲高効率駆動を実現する新型MATRIXモータの実現
Project/Area Number |
15J00360
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Research Institution | Shibaura Institute of Technology |
Principal Investigator |
土方 大樹 芝浦工業大学, 理工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2017-03-31
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Keywords | 電気機器学 / パワーエレクトロニクス / 永久磁石同期モータ / モータドライブ |
Outline of Annual Research Achievements |
地球温暖化防止に加えて東日本大震災以降は全国的な節電施策が検討実施されている中,我が国の電力使用量の約57%がモータにより消費されている事実から,産業や民生など全ての分野においてモータの高効率化は省エネルギー化に効果的であり,かつ必須であると言える。こうした背景から,省エネルギー社会に向けた取り組みとして,広範囲で高効率駆動を実現するMATRIXモータを提案した。提案するMATRIXモータは複数の駆動回路を接続した多相駆動の埋め込型永久磁石同期モータで構成されており,各相の電機子巻線にHブリッジインバータが接続されている。前年度に行った主な取り組みとして,個別の通電電流制御により高速回転時に問題となる鉄損の低減方法の提案,解析および実機検証を行った。埋め込み磁石同期モータは電気自動車やハイブリッド電気自動車などの駆動用モータとして一般的に用いられている。永久磁石を回転子に内包していることから高い磁束密度を実現でき,低速回転時における高トルクを生み出すことができる特徴が挙げられる。一方の高速回転時には磁束密度が最高回転数の上限を決めるため,一般的には磁束密度を打ち消す電流を通電することで,広い速度範囲の駆動を実現している。しかし同時に磁束密度の高調波成分を助長しているため高速回転時の損失,特に高調波鉄損の増加を引き起こしている問題点挙げられる。そこで当該研究では複数の駆動回路とセンサを用いて高調波磁束密度を観測し,打ち消す電流を通電することで高調波鉄損を減少する方法を提案した。6相駆動のオープン巻線を施した8極48スロットの原理検証機を使用してシミュレーションと実機検証を行った。銅損に比べ鉄損が過大な高速域では非常に有効な手段であると言え,特に回転数6000rpm時に最大で約69%の鉄損抑制を実現した。その成果は電気学会の学術雑誌や米国電気学会の国際会議を中心に発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
試作した実験機器により基礎的な実験データは得られており,順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度に提案した制御手法は鉄損を抑制するだけでなく,印加電圧の高調波成分も減少可能であることが明らかとなっている。これによって得られた知見をもとに今後は高調波電圧の減少によるモータの駆動領域の拡大についても定量的な検証をする必要がある。また,鉄損抑制制御に使用したティース毎の磁束推定を足掛かりに,モータの出力トルク増加方法の検討を今後行う予定である。既にシミュレーションを基にした原理検証は終えており,実機実験における提案手法の有用性を確認する。評価結果を用いて大型モデルに適用した際の問題点や実用上の課題を抽出する。
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