2015 Fiscal Year Annual Research Report
障害者雇用企業における成果の評価ツール開発に関する研究
Project/Area Number |
15J00551
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
金 紋廷 東北大学, 経済学研究科, 特別研究員(DC2)
|
Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2017-03-31
|
Keywords | 障害者雇用 / 企業評価 / 社会貢献 / 企業の社会的責任(CSR) / バランススコアカード(BSC) / 構造概念妥当性分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の第1目的は、障害者雇用企業の経済経営的な成果と社会貢献な成果を総合的かつ定量的に測定可能な評価ツールを開発することである。また、開発された評価ツールを用いて、日本と韓国における障害者雇用企業の成果を評価し、企業の障害者雇用を維持及び改善していくための課題を明らかにする。その内容を踏まえて、企業経営を考慮した障害者雇用促進モデルを提案することを第2の目的とする。 そこで、平成27年度には、研究実施計画のとおり、障害者雇用企業の成果評価ツール(試案)開発を中心に研究を進め、その成果を論文として発表した。 第1に、障害者雇用と企業評価に関連する文献調査、障害者雇用企業に対する設問紙調査を行い、障害者雇用企業の社会貢献成果評価尺度(試案)と経済経営成果評価指標(試案)を完成した。なお、この研究に関する論文は、Asian Journal of Human Services vol.8に掲載された。 第2に、日本と韓国にて計2回の設問紙調査を行い、社会貢献成果評価尺度(試案)が障害者雇用企業の社会貢献的な成果を評価するにあたって内容的に妥当であるか否かその(1)内容的妥当性と、尺度としての(2)信頼性と構造概念妥当性を検証し、「障害者雇用企業の社会貢献成果評価尺度(3領域10項目)」を開発した。なお、この研究に関する論文は、Asian Journal of Human Services vol.10に投稿し掲載確定された。 第3に、日本における企業調査データを用いて、経済経営成果評価指標(試案)が障害者雇用企業の経済経営的な成果を評価するにあたって妥当であるか否か、指標としての信頼性と構造概念妥当性を検証し、「障害者雇用企業の経済経営的成果評価指標(5領域17項目)」を開発した。なお、この研究に関する論文は、日本経営倫理学会誌第23号に掲載された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
障害者雇用企業の成果評価ツール開発にあたって、平成27年度の主な研究課題及び研究計画は、障害者雇用企業の成果評価ツールの試案を開発することであった。 研究計画のとおり、障害者雇用企業の成果評価ツール(試案)開発を中心に研究を進めた結果、評価ツール(試案)を完成するだけでなく、日本と韓国において評価ツール(試案)の妥当性と信頼性を検証する段階まで進捗させた。 具体的な研究成果として(1) 障害者雇用企業の成果評価指標(試案)の開発、(2) 障害者雇用企業の社会貢献成果評価尺度の開発、(3) 障害者雇用企業の経済経営的成果評価指標を開発した。また、その研究成果については、計3本の論文にまとめて発表した。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成27年度の研究結果、障害者雇用企業の成果評価ツールとして、(1) 社会貢献成果評価尺度(3領域10項目)と、(2) 経済経営成果評価指標(5領域17項目)を開発した。開発された評価ツールは、日本と韓国において検証されたものであるため、両国の障害者雇用企業の成果を評価する際に適用できるといえる。 ただし、経済経営成果評価指標の場合、時間的・経済的事情、サンプル確保の困難さにより、韓国での適用可能性を実証的に検証することができなかった限界がある。また、指標の構造的妥当性は検証されたものの、5つの領域のうち、「顧客」と「内部プロセス」の2つの領域における評価指標が不十分である限界がある。さらに、評価指標によるスコアリング方法までは提案することができなかった限界がある。 以上のようなツール開発における限界を踏まえて、平成28年度の研究課題及び研究計画を以下のように示した。 第1に、韓国の障害者雇用企業におけるデータを用いて、障害者雇用企業の経済経営的な成果評価指標の妥当性と適用可能性を実証的に検証する。第2に、障害者雇用と関連する「顧客」及び「内部プロセス」観点からの経営成果を実証的に分析し、2つの領域における評価指標を充実させる。第3に、障害者雇用率の変化による経営成果の変化量を分析し、障害者雇用企業の経済経営成果評価指標間の重みを付け、スコアリング方法を明示する。また、最後には、以上の研究結果に基づいて、企業経営を考慮した障害者雇用成果評価モデルを提案することを平成28年度の研究目的とする。
|
Research Products
(5 results)