2016 Fiscal Year Annual Research Report
個人の多様な境遇を反映する評価指標の理論と実証:療養者のケイパビリティを中心に
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15J00563
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
小林 秀行 一橋大学, 大学院経済学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2017-03-31
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Keywords | ケイパビリティ・アプローチ / 医療経済学 / 健康経済評価 / 医療経済政策 / 厚生指標 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度は、平成27年度に実施した、療養者個人の主体的評価によるケイパビリティ評価項目の実証的捕捉の研究成果を踏まえ、ケイパビリティ・アプローチの操作的定式化に向けた理論モデル構築、操作的定式化の実証分析への適用と個人間差異の捕捉に取り組んだ。 【A】ケイパビリティ・アプローチの操作的定式化に向けた理論モデル構築 研究代表者は上記の一連の実証分析結果を考察し、ケイパビリティ・アプローチの操作的定式化の方法を経済学理論に基づいて明らかにしようと取り組んだ。具体的には、平成27年度の研究成果を鑑み、人的資本アプローチ(Becker, 1978)や、機能にサブ機能・メイン機能という階層性の構造を想定する理論(後藤, 2014)を適用しながら、本来的に観察不可能な個人のサブケイパビリティを、実際に個々人が選択した機能ベクトルに関する調査データをもとに理論的に構成し、さらに、メインケイパビリティと実際の達成点との比較を通じて、個々人の評価関数の傾向に関して分析を行った。
【B】操作的定式化の実証分析への適用と個人間差異の捕捉 個人が権原をもつ財、および、個人の特性としての利用関数の差異に着眼して、定式化された方法を適用して実証データの分析を行い、療養中の個人に対するケイパビリティ・アプローチに基づいた評価が実際にいかになされるのかを検討した。その結果、在宅療養患者の移動制約の有無や健康状態の良し悪しの差異に着眼した実証分析では、境遇の差異を反映して達成される機能集合に差異が見られ、背景に利用関数の相異が示唆された。さらに、実際の療養者の身体可動性や活動耐性(易疲労感)を考慮して利用関数の形状を検討した結果、移動制約のない(よく動くことのできる)患者は移動制約の大きな患者と比較して、利用可能な財集合が小さいことが示唆された。
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Research Progress Status |
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(12 results)