2015 Fiscal Year Annual Research Report
幼児期の一般的他者と特殊的他者の心の理解:マインドリーディングの発達モデルの構築
Project/Area Number |
15J00570
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
古見 文一 神戸大学, 人間発達環境学研究科, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2018-03-31
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Keywords | マインドリーディング / 心の理論 / 特殊的な他者 / 幼児 / スマーティ課題 / 誤った信念課題 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は,幼児期における特殊的他者の心の理解についての実験を2つ行った。1つ目の実験では,参加児におはじきのはいったクレヨン箱と、クレヨンのはいった茶袋を呈示して,クレヨンがどちらに入っていると思うかを問うた。中身を明らかにした後に,参加児の一番仲の良い同年齢の友人は,同じ質問をされた時にどのように答えると考えるかを問うた。その後,ロボットや神様,ものしりじいさんなどについて、同様の質問をされたらどのように答えると考えるかを問うた。その結果,年少児においては,全ての他者について,幼児は自己中心的な回答を行った。つまり,自分が「クレヨンは茶袋に入っていると知っている」という知識をもとに,誰もがクレヨンは茶袋に入っていると答えると考えたのである。一方で,年中児では,その反応に変化があり,自分は知っているが,友人は中身を見ていないので知らないだろうと考え,クレヨンはクレヨン箱に入っていると答えるだろうと予測する一方で,ロボットやものしりじいさんは特殊な能力があるので知っているかもしれないからクレヨンは茶袋に入っていると答えるのではないかと予測した。年長児でも同様のパターンがみられたが,その分化の様相は年中児とは異なっていた。この結果から,幼児は,年中児において他者の心の理解について,他者の特殊性も踏まえた上で推測することができるということがわかった。これは,今後の研究において非常に重要な一歩であると考えられる。2つ目の実験は,1つ目の実験をさらに洗練したものと,新たに特殊的な他者の知覚について幼児がどのように捉えているのかを検討する新たな課題,および知覚的な視点取得能力の発達を調べる課題を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
実験が非常にスムーズに進んだため,本来2年目に行う予定であった実験を前倒しで行うことができた。さらに,その予備実験となる成人を対象とした実験も行うことができたため
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Strategy for Future Research Activity |
現在,非常に順調にデータ収集が進んでいるため,本年度と同様のペースで研究ができるように,研究協力園と密に連絡を取っていく。
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Research Products
(5 results)