2015 Fiscal Year Annual Research Report
盲児の空間概念に関する指導法の開発―はめこみ構成課題の教材配列と規定要因の検討―
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15J00647
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
福田 奏子 筑波大学, 人間総合科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2017-03-31
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Keywords | 視覚障害教育 / はめこみ構成課題 / 概念理解 / 日常生活動作 / 大規模空間認知 |
Outline of Annual Research Achievements |
1 具体的内容 本研究では、盲児の空間概念を育むはめこみ構成課題に着目し、課題順序性について検証するとともに、構成課題と関連する能力について検討することを目的とした。今年度は、当初の研究計画の通り、四角形はめこみ構成課題および三角形はめこみ課題を作成し、全国盲学校6校において実験を行うとともに、実態把握のためのチェックリストを作成した。その結果、はめこみ構成課題の課題順序性が実験的に検証された。具体的には、三角形はめこみ構成課題の順序性については、盲児28名を対象とした実験によって、3課題の難易度の差が明らかになり、枚数が多く異形の課題は難易度が高いことが示唆された。四角形はめこみ構成課題の順序性については、盲児46名を対象とした実験によって、6課題の難易度の差が明らかになり、異形のはめ板があり、正答のパターンが少ない課題は難易度が高いことが示唆された。また、実態把握のためのチェックリストについては、先行研究を参考に項目を抽出し、視覚障害学を専門とする大学教員1名、大学院生1名、大学生2名で、一部表現を変えるなど修正を行い、大規模空間認知に関する項目17項目、手指操作を伴う日常生活動作に関する項目21項目、概念理解に関する項目29項目、計67項目を作成した。 2 意義と重要性 はめこみ構成課題の課題順序性が明らかになったことによって、系統性と普遍性のある指導カリキュラムの開発につながり、教育的・実践的意義は大きいと考える。また、次年度に、課題達成と大規模空間認知・日常生活動作・概念理解との関連について検討することで、アセスメントツールとして応用することができ、これまで知能検査などの動作性課題は視覚障害児には適用できなかったことを踏まえると、重要な知見であると考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
平成27年度は、当初の研究計画の通り、四角形はめこみ構成課題および三角形はめこみ課題を作成し、全国盲学校6校において実験を行うとともに、盲児の実態を把握するためのチェックリストを作成した。その結果、三角形はめこみ構成課題の順序性については、盲児28名を対象とした実験によって、難易度が明らかになり、四角形はめこみ構成課題の順序性については、盲児46名を対象とした実験によって難易度が明らかになった。また、実態把握のためのチェックリストについては、先行研究を参考に項目を抽出し、一部表現を変えるなど修正を行い、大規模空間認知に関する項目17項目、手指操作を伴う日常生活動作に関する項目21項目、概念理解に関する項目29項目、計67項目を作成した。 これらの研究成果は、全体の計画の7割を超えるものであり、想定した数以上の対象児のデータが収集できたことからも、当初の計画以上に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度は、盲児を対象にはめこみ構成課題を用いて実験を行うとともに、作成したチェックリストを用いて実態把握を行い、課題達成と大規模空間認知・日常生活動作および概念理解との関連について検討する。また、はめこみ構成課題の難易度の低い課題までしか達成できなかった対象児と難易度の高い課題まで達成できた対象児では手指の能力に違いがあると考え、手の探索操作能力を分析する。さらに、難易度の低い課題までしか達成できなかった対象児と難易度の高い課題まで達成できた対象児とでは、大規模空間認知や日常生活動作および概念理解においてどのような項目を習得していて、どのような項目が未習得なのか検討し、評価法開発の基礎的知見を得られるよう努める。研究成果は、日本特殊教育学会第54回大会にて発表するとともに、『障害科学研究』および『British Journal of Visual Impairment』機関誌に投稿する予定である 。なお、報告書を作成し、全国盲学校に配布するとともに、本研究で使用した課題を普及するために、教材として製品化することも検討している。
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Research Products
(1 results)