2015 Fiscal Year Annual Research Report
自閉症スペクトラム障害児の叙述的コミュニケーション支援：応用行動分析学からの検討
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15J00649
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| Research Institution | University of Tsukuba |
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Principal Investigator |
河南 佐和呼 筑波大学, 人間総合科学研究科, 特別研究員(DC2)
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| Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2017-03-31
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| Keywords | 自閉症スペクトラム障害児 / 応用行動分析学 / 単一事例研究法 / コミュニケーション |
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| Outline of Annual Research Achievements |
音声発話が可能だが知的障害のある自閉症スペクトラム障害児5名を参加児として、聞き手に応じた叙述的コミュニケーションの成立を可能とするための制御変数の検討を、単一事例研究法を用いて所属研究室の相談室において実施した。
聞き手に応じた報告行動が成立するためには、聞き手の強化の弁別、それに基づいた報告内容の修正というプロセスを経る必要がある。報告内容の修正では、聞き手に応じて報告内容（話題）を再選択することが求められるが、その際、複数の話題をその場で想起できなければならない。また、自閉症スペクトラム障害児は、聞き手の反応を弁別可能であるにも関わらずそれに基づく話題の選択に困難さを示すことも明らかになっている。そこで、以下の2点を検討した。
１．複数の話題（刺激）の想起に対して、聞き手による質問が参加児の報告行動を制御するようになるか：その結果、(1) 叙述に困難がみられていた参加児に対しては、質問応答の機会を増やし、体験した活動を言語化することを聞き手が強化することで、 (2)想起に困難がみられていた参加児に対しては、質問応答に加えて活動に従事している様子を撮影した写真を見せながら言語化を促し、それを聞き手が強化することで、活動から報告までに時間間隔が生じても複数の出来事を具体的に報告可能となった。聞き手による質問の有効性が示唆されたことで、自閉症スペクトラム障害児が示す困難さの原因に対する従来の見解をさらに深めることが可能となった。
２．想起が求められる場面の行動に焦点化し、話題が呈示される前に聞き手が強化する話題に関する学習を行うことで、より確実に聞き手の反応に基づいた報告が可能となるか：その結果、聞き手が強化する話題を報告可能となり、聞き手からの強化だけでなく、聞き手が示す付加的な手がかりが、聞き手に応じた報告の成立に必要であることが示唆された。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
交付申請書の「研究の目的」に記載した研究計画と以下に示す進捗状況に基づき、やや遅れていると判断した。
１．叙述的コミュニケーションの成立に関する制御変数についての研究成果を示した：聞き手に応じた発話に必要となる、複数の刺激への注目や、聞き手の強化に対する弁別について、自閉症スペクトラム障害児の困難さ及びその指導方法を明らかにできた。
２．報告行動の特性を考慮し、聞き手の反応に関わらず報告の成立を検討する必要が生じた：当初、聞き手の強化のみで、聞き手の興味関心に応じた報告が可能だと想定していた。しかし、刺激呈示から報告の生起までに時間間隔が生じてしまうという報告行動特有の特徴から、実際場面において自閉症スペクトラム障害児が報告を成立させることが容易ではないことが明らかとなり、それを担保する手続きを付加的に検討した。
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| Strategy for Future Research Activity |
本研究課題の今後の推進方策としては、前年度までに明らかとなった聞き手の興味関心に応じた報告の成立に必要な制御変数を、参加児の日常生活場面に導入し、自閉症スペクトラム障害児における聞き手に応じた叙述的コミュニケーションの成立プロセスを明らかにする。具体的には、以下の3点が挙げられる。
１．参加児の人数を増やし、参加児の知的レベル等のプロフィールと報告成立の制御変数との関連性についてさらに知見を広げる。
２．聞き手の分化強化に基づく興味関心の弁別、及び、複数の話題への注目が可能となるよう環境変数を整えることによって、参加児の日常生活場面において、聞き手の興味関心に基づく報告が成立するか検討する。
３．聞き手や話題の選択が、他の場面においても生起し得るか、般用可能性を検討する。
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Research Products
(3 results)
