2016 Fiscal Year Annual Research Report
19・20世紀の共済組合と医療 -公私福祉ミックス形成の実態と論理-
Project/Area Number |
15J00722
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
小西 洋平 京都大学, 人間・環境学研究科, 特別研究員(DC2)
|
Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2017-03-31
|
Keywords | 共済組合 / 補足的医療保険 / フランス的例外性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度の研究実績の概要は、①8月から9月にかけての渡仏、②ミシェル・ドレフュス著、深澤敦、小西洋平共訳『フランスの共済組合 今や接近可能な歴史』の出版である。 ①に関して、昨年度に引き続き、本研究課題を遂行するために8月から9月にかけて渡仏し、新たな資料収集を行った。特に本年度は、1945年以降社会保障の成立とともに共済組合に与えられた現代的な役割である補足的医療保険制度を解明するために、歴史資料に加えて今現在の共済組合に関わる資料も多く集めた。 ②に関して、2年間の特別研究員としての研究活動を総括する成果のひとつとして、ミシェル・ドレフュス著、深澤敦、小西洋平共訳『フランスの共済組合 今や接近可能な歴史』を出版した。本書は、日本で初めてフランス共済組合史を本格的に解明した著作である。フランスは公的医療保険への加入とともに、医療費の自己負担部分を対象とする「補足的医療保険」として民間医療保険の団体契約への加入が今や強制されている。このような「フランス的例外性」ともいえる制度はどのように形成されてきたのか。本書は医療のみならず社会保護でも必要不可欠な役割を果たす「共済組合」が、いかなる歴史を経て形成されてきたのかを知ることができるフランス共済組合の研究書である。 本年度は、昨年度に実施した歴史研究を現代的な観点から捉えなおすことによって、「歴史・現状・理論」という研究に必要不可欠な三要素をすべて盛り込んだ総括的な研究を遂行することができた。日本に欠落している補足的医療保険(自己負担の保険化)とその発生土壌の未発達さを提起することで、本研究課題である「公私供給の相互作用を通じたよりよき社会福祉システムの構築の可能性を探る」という目的を、日本への適応可能性と政策立案の模索という点に関しては未だ不十分であるとしても、概ね達成することができた。
|
Research Progress Status |
28年度が最終年度であるため、記入しない。
|
Strategy for Future Research Activity |
28年度が最終年度であるため、記入しない。
|
Research Products
(1 results)