2016 Fiscal Year Annual Research Report
抗老化因子Klothoが肥満改善による動脈伸展性増大に果たす役割
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15J00900
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
松原 朋子 筑波大学, 医学医療系, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2018-03-31
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Keywords | Klotho / 動脈伸展性 / 肥満 / 運動 |
Outline of Annual Research Achievements |
肥満は動脈伸展性を低下させるが、運動や食生活の改善は動脈伸展性を増大させることから、肥満者における運動や食生活の改善は心血管疾患の予防に有効である。抗老化因子Klothoは、様々な血管保護作用を持つが、血中Klothoレベルは肥満により低下し、運動により上昇する。したがって、肥満による血中Klothoレベルの低下は動脈伸展性の低下を招き、肥満者における運動や食生活改善は血中Klothoレベルを増加させ、動脈伸展性の増大に寄与する可能性が考えられる。そこで、本研究では、肥満者における運動および食生活改善が動脈伸展性を増大させるメカニズムへのKlothoの影響を検討することを目的とした。 今年度は昨年度から引き続き、米国、East Carolina大学、肥満・糖尿病研究所にて実験を行った。動物実験では、マウスに12週間の高脂肪食給餌により肥満を誘導した肥満モデルマウスを用いて、長期の運動(実験1)、腹腔内Klothoタンパク投与(実験2)、脳室内Klothoタンパク投与(実験3)の代謝、Klotho発現、動脈への影響を検討した。実験1から肥満マウスにおける長期の運動は、腎臓のKlotho発現を増加させることが明らかになった。さらに、実験2および3から、肥満マウスにおける腹腔内Klotho投与および脳室内Klotho投与は、代謝を変化させることが明らかになった。現在、実験1-3で得られたサンプルおよびデータの解析中である。 今年度で動物実験を完了したので、来年度は今年度得られたサンプルおよびデータの解析をする予定である。来年度、これらのサンプルおよびこれまでに取ったデータを解析を行う。これにより、肥満マウスにおける長期の運動が動脈伸展性を改善するメカニズムへのKlothoの作用を明らかにすることが可能であると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は昨年度と引き続き、米国・East Carolina大学において研究を遂行した。肥満モデルマウスを用いて、長期の運動(実験1)、腹腔内Klothoタンパク投与(実験2)、脳室内Klothoタンパク投与(実験3)の代謝および動脈への影響を検討した。今年度は動物実験の手術方法(脳室内投与のカニューレ装着など)の再検討に時間がかかった。しかし、今年度の動物実験において、サンプルおよび生理学的データの採取が完了した。したがって、本研究はおおむね順調に進展したと言える。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度は、今年度の動物実験で採取したサンプル、および生理学的データの解析を行う。さらに、培養細胞を用いて、より詳細なメカニズムの解明に向けて、追加実験を行う。これらの成果を学会発表および学術論文として公表する予定である。
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Research Products
(1 results)