2015 Fiscal Year Annual Research Report
堆積物中の粒子サイズ分布変化から復元するプリニー式噴火推移
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15J00926
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
入山 宙 九州大学, 理学府, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2017-03-31
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Keywords | 粒子数保存則 / 粒子サイズ分布の時間変化 / 堆積構造の支配パラメータ / 火山噴火推移 / プリニー式噴火 / 噴火継続時間 / 噴煙高度 |
Outline of Annual Research Achievements |
火山噴火で噴出した粒子が鉛直1次元空間を降下し、地表に堆積する輸送過程に関する理論研究を実施した。その結果、降下開始時の粒子サイズ分布(Grain-Size Distribution、以下GSDと表記)と降下開始高度が時間変化する場合、形成される降下火砕堆積物の堆積時GSDの時間変化を記述する連立微分方程式(粒子数保存則)が導出された。導出された関係式はすなわち、地上で観測可能な堆積時GSDをから、未知の降下開始時のGSDが推定可能となったことを意味する重要な結果である。 導出した関係式を、これまでの研究で得られていた火山噴出物の降下・堆積プロセスに関する定常解に応用した。定常解では、堆積物中の最大粒子の存在層厚比が定量的に導出されていた。定常条件に降下開始位置が時間とともに直線的に増加する降下を加えると、初期降下開始高度と供給する継続時間の比が、この増加率が最大粒子の存在層厚比に対して与える影響を支配していることが数値的に明らかになった。この関係を実際の堆積物に応用する場合、堆積物から測定可能な値から初期降下開始高度と供給の継続時間の比が推定可能であることがわかった。 桜島で2016年3月下旬に発生した噴火、霧島新燃岳2011年噴火、セントヘレンズ1980年噴火の噴出物の火山地質調査を実施した。上記に示した噴火事例は、表面現象が変化していく様子が具体的な時刻とともに報告されており、堆積構造と噴火の期間が対応づけられている。本研究で行っているような、降下火砕堆積物中のGSDの鉛直変化から噴出物輸送を考慮して噴火推移を推定する場合、推定結果と観測結果を比較し、具体的な現象を検討する必要がある。今回、堆積時GSDの時間変化を調べるために、堆積物を鉛直方向に複数の層に分けてサンプリングを行った。今後、粒度分析を行って具体的なGSDの値を求め、噴火推移との比較を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「研究実績の概要」で述べたように、当初研究実施計画で予定していた「火山噴出物の降下・堆積プロセスに関する定量的数理モデルの構築および数値シミュレーション」、「天然の降下火砕堆積物の層序学的研究」について、それぞれ予定通りに実施された。そのため、本項目の区分は「(2)おおむね順調に進展している」に該当すると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度に実施した火山地質調査によって得られたサンプルを粒度分析し、降下火砕堆積物の堆積物GSDを計測する。得られたデータをこれまでに導出した関係式を実際の降下火砕堆積物に応用し、輸送プロセスを考慮したプリニー式噴火推移の推定を行う。また、これまでの研究成果をまとめ、国際誌へ論文投稿する。
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Research Products
(3 results)