2015 Fiscal Year Annual Research Report
モジュラー形式及び Λ-進形式に付随する Galois 表現の像の研究
Project/Area Number |
15J00944
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
小澤 友美 東北大学, 理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2017-03-31
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Keywords | Hilbert尖点形式 / Hida family / Galois表現 / Artin表現 / Ordinary Hecke algebra |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度はHilbert尖点形式の族に付随するGalois表現の像の大小と,もとの族のFourier係数が満たす合同式等の数論的性質の関係を明らかにすることを目指して研究を行った.具体的には,Hilbert尖点形式の族に含まれる重さ1の古典的特殊化の個数について,族に伴うGalois表現の観点から考察し,以下の成果を得た.
pを奇素数とし,総実代数体上定義されるHilbertモジュラー形式を考える.肥田のControl Theoremにより,原始的でp-ordinaryなHilbert尖点形式の族の,重さ2以上の特殊化は必ず古典的な意味でのHilbert尖点形式になるが,重さ1の場合はそうとは限らない.このことに関して,Balasubramanyam-Ghate-Vatsalにより,そのような族が無限個の重さ1の古典的特殊化を持つことと,虚数乗法族(総虚2次拡大のHecke指標から構成される族)であることの同値性が示されていた.従って,族が虚数乗法族でない場合,その族に含まれる重さ1の古典的特殊化の個数を考えることが意味をなす.
平成27年度は,虚数乗法族でなく,原始的でp-ordinaryなHilbert尖点形式の族が,重さ1の古典的な特殊化を少なくとも一つ持つ場合に,剰余表現のpでの分岐に関するある仮定のもと,その族の重さ1の古典的特殊化の個数の上限を与えた.一般に重さ1の古典的尖点形式に伴うGalois表現はArtin表現で,その像の群構造に応じて二面体群型もしくは例外型(交代群A4, A5または対称群S4)に分類される.従って,族が重さ1の古典的特殊化を持つ場合,族に付随するGalois表現の射影剰余表現も同様に二つのいずれかに分類される.それぞれの場合について,重さ1の古典的特殊化に伴うGalois表現として生じうるものを数え上げることにより,個数を上から評価した.この結果を論文にまとめ,平成28年5月末までに学術誌に投稿する予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
原始的でp-ordinaryなHilbert尖点形式の族の重さ1の古典的特殊化の個数を,明示的に評価できた.これは今後,Hilbert尖点形式の族に付随するGalois表現の像の大小と,もとの族の数論的性質の関係について考察する上で役立つと思われる.また,この評価に用いた手法が,関連する他の問題にも応用可能だという手応えを得た.
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策は以下である. (1)「9. 研究実績の概要」で述べた定理を満たすHilbert尖点形式の族の具体例を構成する. (2) 肥田のordinary Hecke algebraの重さ1の点の上での分岐の様子について考察する.特に(1)で構成した例を参考にして,重さ1の点で実際に分岐が起きる例の構成を試みる. (3) (1), (2)をもとに,引き続きHilbert尖点形式の族に付随するGalois表現の像と,その族のFourier係数の性質について考察する.
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Research Products
(8 results)