2016 Fiscal Year Annual Research Report
中国の戦略的行動と民軍関係の進展:アジア安全保障への影響
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15J01056
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
PAREPA LAURA ANCA 筑波大学, 人文社会科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2017-03-31
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Keywords | 政軍関係 / 中国 / コンコーダンス / 戦略行動 / 言説分析 / 人民解放軍 / 対外アクティビズム / 安全保障 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、中国の戦略的行動の変化と中国における政軍関係(CMR)の間にある潜在的な関係を解明し、政軍関係・戦略的行動のパターンを記述することであった。中国における民政関係の変化を理解するためにSchiffの「コンコーダンス理論」を適用し、従来の理論にない民衆アクターも考慮した。具体的に公式言説と政策の2側面を分析した。研究期間中に収集されたデータはMAXQDA 12を使用して分類化と定量分析を行った。結果を見ると、中国では政軍民アクターの間にあるコンコーダンスは2つの側面で達成される。1つ目は言説レベルで「中国国家の復興」(中国の夢)という戦略的ナラティヴを推進することで、中国共産党は価値観、目的、政策アジェンダの共有を生み出し、主要なアクター間のコンコーダンスを構築している。2つ目は政策レベルで、言説により構築され諸概念を実現するための具体的な政策措置が採られ、それにより軍のニーズと役割を中国国家の復興である国家目標という広汎な枠組みに統合している。アクター間の諸要素の共有によるコンコーダンスは同時に国内で権威主義の安定性に寄与している。ただ、国外の状況はいささか異なる。3地域(中央アジア、東アジア、アフリカ)における中国の戦略行動の比較したところ、違いが現れる。一帯一路構想における人民解放軍の対外アクティビズムの増大、中央アジアにおける陸路や東アジアにおけるシーレーンの管理などは中国中心世界秩序の再興を次第に容易にする。コンコーダンスは、ナショナリズムを誘発し、世界における人民解放軍の役割の拡張に対するインセンティヴを生み出すことから、長期的な観点から安全保障リスクに結びつくかもしれない。本研究の成果は、異なる国内外の学術誌ですでに発表されているか、投稿中あるいは投稿予定となっている。また、博士論文の草稿として結実し、現在審査中となっている。
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Research Progress Status |
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(5 results)