2017 Fiscal Year Annual Research Report
内部応力で誘起された巨視的異方性を有する高強度・高機能ゲルの創製
Project/Area Number |
15J01078
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
高橋 陸 北海道大学, 生命科学院, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2018-03-31
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Keywords | ハイドロゲル / 膨潤 / 半剛直性高分子 / 巨視的配向構造 / 高分子液晶 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、「内部応力で誘起された巨視的異方性を有する、高強度・高機能ゲルの創製」である。現在までに、剛直性高分子の配向構造をゲル内部で制御する方法を報告している。これに加え、特定の多価金属イオン溶液中で、高濃度の剛直性高分子を内包したゲルを膨潤させることで、極めて高強度・高靭性を示すハイドロゲルの合成に成功した。ヤング率はコントロールの水中で膨潤させたゲルと比べて、約40倍に増加し、靭性は約240倍に増加した。
本年度は、本ゲルの強靭化メカニズムを詳細に理解するために、(1)ゲル内の剛直性高分子濃度が物性に与える影響、(2)多価金属イオンの濃度が物性に与える影響について注力して研究を行った。その結果、剛直性高分子の濃度がある一定濃度以下であるとき、金属多価イオン溶液中で膨潤させてもほとんど物性が変化しないことが分かった。この濃度は高分子同士が重なり合う臨界濃度とほぼ一致しており、高分子濃度が高い状態の時、金属多価イオンによって高分子が架橋され、剛直な3次元網目構造が形成されることが示唆された。その結果、網目状になった剛直性分子は力学物性に寄与できるようになり、優れた力学強度を示すようになったと考えられる。また、臨界濃度以上で金属多価イオン濃度を変化させた時、低濃度では物性が低く、濃度が高くになるにつれて物性が向上し、さらに高濃度域になると再び物性が低下することが分かった。これは、本強靭化がイオン結合による高分子網目構造の形成に強く起因することを示唆している。 また、ゲル内の剛直性高分子を配向させた状態で、多価金属イオン溶液中で膨潤させることで、配向構造に基づいた力学的異方性を導入できることが分かった。剛直性高分子の配向度に応じた物性変化が観察されており、力学物性を内部構造で制御できる新たな手法になり得ると期待される。
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Research Progress Status |
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(5 results)