2016 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15J01086
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
川原 一晃 東京大学, 新領域創成科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2017-03-31
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Keywords | 二次元物質 / ハニカム物質 / 層状物質 / ディラック電子 / 構造解析 / 電子回折 |
Outline of Annual Research Achievements |
申請者の研究テーマは新奇ディラック電子系の探索と物性評価を行い、新しい機能性材料としての可能性を探ることである。今年度は以下の2つの項目について研究を行った。 (1)新奇二次元ハニカムシートの創成 グラフェンなどの14族元素からなる二次元ハニカム物質はディラック電子系である。申請者は新奇ハニカム物質創成を目指して、二硫化モリブデン上に様々な条件でスズ、鉛を蒸着した。電子回折像を観察することで二次元シートが成長するか否かを調査した。スズを蒸着したときは、蒸着条件に関わらず二次元シートは成長しなかった一方、基板を100-200℃に保って鉛を蒸着した後では1x1の回折パターンが観測された。これは鉛の二次元シートの合成に成功した可能性を示唆する結果である。しかし現状その構造は不明であり、今後構造解析を行う。 (2)テルル化タングステン表面の構造解析 金属カルコゲン層状物質であるテルル化タングステン(WTe2)は、3次元的なディラック電子系(ワイル半金属)の候補として注目されている。ワイル半金属表面には、トポロジカルに保護されたフェルミ弧表面状態が存在すると言われており、角度分解光電子分光などの表面敏感な実験手法により電子状態の研究が行われている。電子状態に関する知見は蓄積されている一方、WTe2の表面構造とバルクの層状構造とを比較した例はない。本研究ではWTe2表面構造を低速電子回折によって決定し、第一原理計算による最適構造と比較した。最表面のTe原子がバルクと比べて表面垂直方向に変位するなどの表面緩和があること、その緩和は第一原理計算でも再現されることがわかった[APEX 10, 045702 (2017).]。本成果はWTe2の表面構造を初めて実験的に詳細に決定した結果である。表面構造の詳細な決定は、WTe2の電子物性のさらなる理解につながる成果である。
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Research Progress Status |
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(5 results)
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[Journal Article] Surface structure of novel semimetal WTe22017
Author(s)
Kazuaki Kawahara, Zeyuan Ni, Ryuichi Arafune, Tetsuroh Shirasawa, Chun-Liang Lin, Emi Minamitani, Satoshi Watanabe, Maki Kawai, Noriaki Takagi
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Journal Title
Applied Physics Express
Volume: 10
Pages: 045702
DOI
Peer Reviewed / Acknowledgement Compliant
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