2016 Fiscal Year Annual Research Report
オホーツク海沿岸域における動物プランクトン群集の経年変動メカニズムに関する研究
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15J01219
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
有馬 大地 北海道大学, 水産科学院, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2018-03-31
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Keywords | オホーツク海 / 動物プランクトン / 季節変動 / 経年変動 / 休眠卵 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究はサブテーマとして以下の3つを設けている。1.外洋性動物プランクトンの動態(S1)、2.沿岸性動物プランクトンの動態(S2)、3.経年変動の影響(S3)。以下に各サブテーマの研究実績を詳細に記す。 ・紋別港オホーツクタワー長期動物プランクトン試料データの解析(S1とS3) 紋別港オホーツクタワーにおける1997年4月-2012年12月にかけての動物プランクトン試料に基づく種同定・計数データについて、クラスター解析とNMDSによる多変量解析を行い、動物プランクトンの季節・経年変動とそれらに影響を与える環境要因について評価した。動物プランクトン群集は季節的に大きく5グループに分けられ、2-3ヶ月毎にグループが変化していた。グループの変動と物理環境の変化を比較するとグループの変動するタイミングは異なる物理環境の変化と相関があることが示された。これらの解析をまとめたものを国際学会にて1件のポスター発表と2件の口頭発表を行った。 ・紋別港オホーツクタワーにおける休眠卵の季節的動態の調査(S2) 沿岸性動物プランクトンの新規個体群の加入に大きな影響を与える海底泥中の休眠卵の季節的動態を解明する目的で、紋別港オホーツクタワーにおいて、エクマンバージ採泥器を用いた採泥と、海底泥中から動物プランクトンの休眠卵を抽出し、計数と休眠卵孵化実験を行った。2016年11月から2017年4月まで本実験を行った結果、オホーツクタワー周辺の海底泥中には最大で1平方メートルあたり114.8万個の休眠卵が存在していた。また孵化実験の結果、結氷水温下であっても、休眠卵からの孵化が確認できた。季節海氷域における結氷水温下での休眠卵の動態に関する知見は無く、非常に貴重なデータを得ることが出来たと考えている。この休眠卵の調査は水塊が完全に入れ替わる夏季まで継続した後にデータをまとめ、学会発表を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究はサブテーマとして以下の3つを設けている。1.外洋性動物プランクトンの動態、2.沿岸性動物プランクトンの動態、3.経年変動の影響(S3)。本年度(平成28年度)は1及び3ではデータ解析、2では実験を主に行うことを計画しており、各テーマともにほぼ予定通り進行していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
全体としては現状の方策のままで十分に研究計画を完遂できると考える。今後は紋別港における休眠卵の実験を夏季まで継続し、並行して長期動物プランクトンデータを学術論文としてまとめ投稿する予定である。
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